京都市職労(池田豊委員長)中央執行委員会は1日、「京都市職員による重大な犯罪・不祥事に関する声明」を発表しました。声明の内容は次のとおりです。


 1、昨年末から京都市職員の犯罪・不祥事が激増している。6月26日からは「服務規律等強化月間」として局区毎に取り組みが行われていたが、その間でも4人の逮捕者が生まれている。しかも、一連の行為の多くが犯罪行為であり、まさに非常事態である。
 京都市職員によるこれらの犯罪・不祥事は、京都市政に対する市民の信頼を大きく失墜させるものであり、同時に、個別の事件という範疇(はんちゅう)を超え、「桝本」市政自体に問題があると言わざるをえない。
 2、犯罪行為に対しては厳正な対処を行う姿勢を当局として示し、その上で真相と原因を徹底的に究明し、市をあげて対策を講じるべきことは言うまでもない。そしてなによりも、市民に対して真相と原因を明らかすることなしに、信頼を回復することはできない。
 7月27日には桝本市長は緊急局区長会を開催し、一連の犯罪・不祥事に関する訓示を行い京都市としての危機感を表したが、直後の新聞報道を含めたその内容には労働組合として見過ごしにできない問題を持っている。
 3、職員によるATM損壊・窃盗未遂、児童買春、銃刀法違反、覚醒剤使用などの犯罪・不祥事が続いた環境局に対して、市長は局の構造的な問題であるとして局の組織風土の一掃のため組織などの見直し、局の解体的な出直しを行うとしている。報道では、「全ての現業職場で民間委託」「環境局縮小・再編も」と伝えられている。
 しかし新聞が社説で指摘もしているように、犯罪・不祥事を理由に業務の民営化を目指すことは筋違いの議論である。市民生活にも大きな影響を与える環境行政の業務を民間委託は、市民生活守るという行政の責任を果たす視点で検証すべき課題であり、「まず民営化ありき」という態度は市民生活を無視した無責任な態度として断じて承服することはできない。ためにする議論ではなく、事件が起きた原因を徹底的に究明し、かかえている問題をすべて明らかにすることが喫緊の課題である。
 4、また、同和選考採用が要因のひとつとだと市長は指摘している。同和選考採用については、特定の同和団体への優先枠を設けるなど雇用者としての主体性を全く放棄してきたことをはじめとする問題点と京都市の責任を市職労はかねてから市当局に対して追及してきた。市職労の要求とねばり強い運動によって2002年には完全廃止させている。現業職員採用について同和選考採用は一定の決着を見たとはいえ、まだ不透明な部分を残している。
 また、採用された職員の犯罪や不祥事に対して京都市当局が毅然(きぜん)とした態度を示さないなかで、職場では特別扱いや服務規律が徹底できていないという問題が残存している。まじめに働く職員の意欲をなくし、犯罪や不祥事の温床ともいえるような異常な事態を放置してきた当局の責任が指摘されなければならない。現場で生じた事件や不祥事を職場の管理職だけで対応させること自体が問題の本質を見誤った態度であり、市政全体の課題として認識し組織的な対応を怠ってきた「桝本」市政の責任は重大である。
 5、今回、生活保護世帯から管理を依頼されていた預金通帳を用いて金銭を不正に着服した事件が発覚した。この職員は、04年12月に発覚した東山福祉事務所の生活保護費返還金不明事件を引き起こした職員と同一人物である。
 東山福祉事務所の生活保護費返還金不明事件については、事件が新聞報道されることが判明した当日に京都市は「紛失」に基づく本人からの弁済を受けるとともに、事件発覚後も異動後の職場で引き続きケースワーカーの業務を行わせていた。処分が下される間にも本人は新たな犯罪を働いていたのである。
 東山での事件の真相・問題の本質を隠蔽した当局の対応が、あらたな事件を引き起こした原因のひとつであることは明らかであり、その責任は重大である。
 同時に、生活保護世帯の転居に際して資料を改ざんし応急援助金を詐取した事件とあわせ、福祉行政の分野で市民の信頼を失墜させた犯罪に対して怒りを禁じ得ない。
 6、市長は8月中に再発防止策などを策定するよう環境局長・保健福祉局長をはじめとする各局区長に命じている。先の東山での事件後も保健福祉局によって一連の防止策が講じられたが、職場の意見を十分に聴かなかったため、混乱や業務改善を徹底することができない事態を招いていた。このことを真摯に受け止め再発防止策の策定・業務の見直しにあたっては職場の意見を十分反映させ、真に実効性あるものにするよう強く求めるものである。その意味でも、労働組合との十分な協議は民主的な行政運営を実現のため不可欠である。 今回の訓示で、市長は自らに処分を科すことを明らかにしている。自らの責任を明らかにし処分を科することは当然であるが、それだけで問題が解決するわけではない。そして、事実と問題点の徹底的な解明と市民に対する説明責任を果たすことなしに市民との信頼回復はありえない。
 7、京都市職労は市当局に対して、全庁的な体制を取りながら、①犯罪・不祥事を隠蔽する体質をきっぱり清算すること、②職場の意見を十分に聴いた上で、原因の究明と再発防止等の具体的対策を講じること、③特別扱いをすることなく犯罪・不祥事に対して組織的に毅然とした対処をすることをあらためて要求する。
 今回の京都市職員の犯罪・不祥事は、市民から厳しい目で注視されている。京都市民の信託を受けた京都市長として責任を持って取り組み、まじめに働く職員が安心して働くことができる職場づくりへの努力を求めるものである。
 自治体労働組合は、市民と組合員に対して働きがいのある民主的な市政・職場を実現する責務を負っている。京都市職労はあらためて市政への市民の信頼回復と働きがいある職場づくり・民主的な市政の実現を目指して奮闘することを決意するものである。