市民の手で「気候保護法」つくろう
3日、「中長期を見据えた温暖化防止対策―欧米の法制度に学ぶ」シンポジウムが、メルパルク京都で開かれ、会場は70名をこえる参加者で一杯になりました。シンポジウムは、日本の温暖化対策を大きく前進させるために「気候保護法(仮称)」の立法化をめざすキャンペーンの開始宣言として、気候ネットワークが主催(共催:日本環境法律家連盟)したもの。
「英国の気候変動法案」―浅岡美恵気候ネットワーク代表、「EUの改正排出量取引指令案」―新澤秀則兵庫県立大学教授、「米国のリーバーマン・ウォーナー法案について」―和田重太弁護士の3つの報告がなされ、植田和弘京都大学教授がコメントしました。会場では、今後の法案検討に役立てようと作成された諸外国の法案を翻訳した冊子も販売されました。
地球温暖化防止の課題は、今後の一定の長期間、人類が生活する地球環境を2℃ほどの温度上昇の範囲で抑えるためにも、先進国では現在排出している二酸化炭素などを20%程に減らす大幅削減が求められおり、ここ数年間での、法律や社会制度、削減の具体的な仕組みづくりと大幅削減への踏み出しが決定的となっています。当然、中長期目標を踏まえた2009年までの合意は欠くことはできません。
ところが、日本政府は、2013年以降の中長期の「大幅削減目標」さえ決定できていない状態で、その削減方法も、「排出量取引」や「環境税」など、すでにヨーロッパなどで始動している抜本的仕組みづくりに対して、経団連や政府与党、経済産業省などが抵抗し、いまだに確立していません。こうした中、日本での本格的な削減を目指すため、「最も重要となっているのは政治の決断」(浅岡代表)、その証は「地球温暖化防止を確実に進めるには、法律をつくることが絶対に必要」として、市民団体が、地球温暖化防止の立法化―大運動を始めたもので、2009年末を目指した全国キャンペーンです。
報告では、検討が始まっている日本の「気候保護法案」概要とともに、EUで始まっている排出権取引の仕組みと経緯、アメリカで既に昨年末に上院の環境公共事業委員会を通過している「気候安全保障法」の中心部分などが紹介されました。それぞれ、必要な温室効果ガスの削減に向けて、限られた「排出枠」を配分し、それを守れなかった企業などは、不足分を他の目標達成企業やその他から買い取らなければいけない仕組みが中核となっており、市場を生かして温室効果ガス削減が進む仕組みです。気候ネットワークでは、4月15日に引き続きシンポジウムを企画しており、気候保護法づくりへさらに運動を盛り上げる予定です。(シンポジウムは、4月15日午後6時半からメルパルク京都―京都駅前東側。詳しくは同事務所までTEL075・254・1011)(S)