京都市北区にある大田神社は今がカキツバタの最盛期です。同神社の創設年代は不詳で、五穀豊穣を祈願して地主神を祀っていましたが、現在は上賀茂神社の8摂社の一つになっており境内にある大田ノ沢にカキツバタが群生しています。改良された現代の濃紫カ
キツバタでなく平安時代から咲き続ける青白い紫で幽玄可憐な気品を漂わせています。国の天然記念物。
 平安時代の当地一体は広大な沢地でカキツバタが群生していたと言われています。大田神社の神官は「最近は付近一帯が開発されて、北山や地下水などが枯れて、昔と同じ水質を確保するために井戸を掘削して流して約2万5千株を生育し保存しています。原生のカキツバタだから背高で茎はしっかりしている上品な感じでしょう」と話されていました。今年の開花は少し遅いようで今月下旬まで観賞できるとのことです。(仲野良典)
 「神山や大田の沢のかきつばた ふかきたのみは いろにみゆらむ」 藤原俊成(シュンセイ)