映画「蟹工船」 現代社会と重ねて…
小林多喜二原作の映画『蟹工船』(山村聡監督/1953年制作)が15日、西陣織会館(京都市上京区)で上映されました。映画をみた人から寄せられた感想を紹介します。
Tさん(男性)は「この作品を見て、“昔はひどい働かせ方をさせられていたのだな”という感想を持てなかったのが不思議でした。経済が発展し、人の心が成熟したかに見える現代においても、蟹工船のような働かされ方の職場は少なからずある。その現実を見つめなおす意味でも、今日この作品を見れてよかったと思います」と言います。
また、「ひどい状況に変わりはなくても、時代が変わって発展してきたものもあるはず。それが自分たちの団結のあり方だと思いたいです。状況を共有し、より良い働く環境をつくっていく。今ならそれができると俺は信じています」と思いを述べています。
大学4回生のWさん(男性、26歳)は「経営者側の労働者に対する不当な扱いに、非常に強い憤りを感じました」と感想を述べています。
Tさん(女性)は「40年前この本を読んで、最後にドーンと重苦しい思いにおそわれたことを覚えています。若者だけの問題でなく、みんなで経営者本位の法律を変えて、働く喜びを持って働ける社会にしなければと思います」と話します。
Kさん(男性、26歳)は「監督(浅川)がひどい人だった。労働者が団結して闘うところで感動した。ラストでストに失敗してしまった理由を考えさせられた」と語りました。
60代の男性Mさんは、「映画の中に出てくる、中学を卒業して仕事のために故郷を後にし、都会へ出て働く少年たちは、かつての私たちでした」と自分の体験と映画を重ね合わせます。
「朝7時から夜7時まで働き、晩ご飯を食べてから残業がありました。“金の卵”などともてはやして、中高年になった今は退職を余儀なくされ、ハローワークへ行くと『せめて高等学校くらい卒業していなければ』と冷たく笑って断られてしまいました」と話しました。