民営化ありき─宇治市立廃止し民間保育所作る
宇治市は6月19日に開かれた市議会文教福祉常任委員会で、保育所民営化の第2次実施計画として、市立槇島保育所を平成23年3月31日で廃園し、同年4月1日から新たに民間保育所を近隣に開設する考えを明らかにしました。
その理由を「(槇島保育所は)(1)入所率が高く、引き続き高い需要が見込まれる。(2)老朽化が著しく建て替えが必要で、効率的な行財政運営の観点からも民間で行えば国の交付金等の導入が見込まれる。(3)近接地に適正規模の用地確保が見込まれる」としています。
宮本議員は、「宇治市では6月1日現在で、100人の保育所待機児がおり、槇島保育所(定員100名)を廃園するのではなく、待機児解消のために新たな保育所をつくるべき」とただしましたが、市は「新たにつくる民間保育所は定数を20人増やし、120人にする」と答弁。
また、「新たに100名程度規模の保育所建設費はどれぐらいかかるのか」との質問に市は「用地費を除いて建設費は概ね2億円程度かかるが、新たに保育所を建設する民間法人に過剰な負担にならないように措置をとる」と答弁。
宮本議員は、「効率的な行財政運営の観点と言うが、民間でつくった場合、2億円の建設費なら半分の1億円が国から助成があり、4分の1の5千万円は市の負担で、4分の1が法人負担だが、民間法人の負担分を市が助成したら、結局、建設費の半分を市が負担し、さらに用地を市が新たに購入して無償貸与するなら、建設費はむしろ高くつく」「結局、宇治市は民営化することが目的だ」「100人もの保育所の待機児がある中、槇島保育所を廃園するのではなく、あらたな保育所をつくるべきだ」と指摘しました。
宇治市では「保育所運営経費について公立民間の児童1人あたりの運営費の格差は、民間1に対し公立1.5で、効率的な保育所運営の観点」から「平成22年度までに数カ所の保育所を民営化する」とし、第1次実施計画では、平成14年4月に市立北小倉保育所を民間の社会福祉法人に無償譲渡しています。(宮本繁夫)