終戦直後の1945年8月24日、強制労働の朝鮮人を送還する船が舞鶴湾で爆発、沈没した「浮島丸事件」。犠牲者の追悼を毎年行なってきた市民団体「浮島丸殉難者を追悼する会」の半世紀の歩みを同会事務局の品田茂さん(49)=舞鶴市=が、「爆沈・浮島丸 歴史の風化とたたかう」(206ページ、1600円+税、高文研)にまとめ出版しました。
 出版の決意は、「須永安郎(83)さんと亡くなった野田幹夫(当時78)さんが1965年、会を設立していなければ『浮島丸』は忘れ去られていたかもしれない。この努力をどうしても残しておきたかった」ということから。
 品田さんは1995年、舞鶴市役所の労働組合の役員として、会の事務局に参加。以来、6年がかりで両氏から聞き取りを行ってきました。
 本書は2部構成。第1部では、「浮島丸事件」をわかりやすく紹介。第2部では、会設立から1978年の追悼碑建立、現在までの歩みをたどっています。
 品田さんは、「『浮島丸事件』は日本の侵略戦争、朝鮮植民地化による強制労働抜きに語れない。追悼活動は、日本の誤った歴史を2度と繰り返さないため、始まった。今後も2人の志を受け継いでいきたい」と話しています。