平安時代の「今昔物語」や「源氏物語」などに出てくる青紫のシオン(紫苑)が平安神宮の庭園に満開の花を咲かせています。平安遷都1100年祭を記念して1895年に創建された新しい神社の平安神宮ですが、3万平方メートルの広大な庭園(神苑)に4つの池を配置する池泉回遊式庭園。四季折々の草木が花咲かせて、訪れる人が絶えません。
 入り口から近い西神苑周りには長く咲いているピンクのフヨウと背丈が2㍍ほどのシオンの花が満開で樹林をバックに映えています。シオンはユリ科のワスレナグサに対して「思いを忘れない草と伝えられています。今の花言葉も「君を忘れず」、「追憶」など。10月まで観賞できそうです。
 西神苑の池には猛暑時に池を埋め尽くしたスイレンが間引きされて水面も見えてに紫、白、黄緑など可憐な花つけています。スイレン科のコウホネも遠慮しながらほんのすこし添えています。(仲野良典)
  「 ふりはべて いざ故郷(ふるさと)の花見むと 来(こ)しをにほひぞ うつろひにける 」(読み人知らず、古今和歌集、注=下の句「来しをにほひぞ」の中の「しをに」は紫苑(しおん)を掛ける。