タウンミーティング不正抽選を認定 原告の請求は棄却
2005年11月に実施されたタウンミーティングの際に、不正な抽選を行い参加の権利を侵害されたとし、蒔田直子さん(大学職員)ら原告四人が国と京都市を相手に損害賠償を求めていた訴訟について、8日午前、京都地裁(吉川慎一裁判長)で原告の訴求棄却の判決が出されました。
判決の言い渡しは「原告の請求を棄却する」という主文朗読だけでしたが、この後、傍聴者が多数来ていること、注目を集めていることを前置き、裁判長が判決内容を解説し、判決要旨の文書も配布するという異例の対応をしました。
判決では、「(参加)応募者多数の場合は、抽選を行うとうたいながら、実際には無作為の抽選を行っていなかったことになり、被告らの行為には、公務に対する信頼を傷つけた」と国と京都市の行為の不当性を認定しました。しかし、「タウンミーティングに参加し意見を述べる権利は、法的保護に値する利益とはいえない」「(過去の言動から)原告らを落選させた目的自体は正当」「(原告に関する個人情報を市が国に伝えたことに関して)共催者の内部において情報を共有したに過ぎず、…プライバシーが侵害されたということはできない」とし、結論として原告の請求を棄却しました。また、事実認定について市と国の主張が食い違っている点に関しては国の主張を採用し、市にとって厳しい内容となっています。
判決後に、弁護士会館で行われた報告集会では、支援する市民約100人が参加し、判決内容の報告を受けました。代理人の小野誠之弁護士は、判決について「国や市が行った不正な抽選が公務の信頼を傷つけたとはいうものの、それにとどまっている。一方で特定者を排除した目的は正当であるということは市民的な常識に反しており、市が誤った情報を国に伝えたことも、共催者の間で共有したに過ぎないとしており、全くお粗末な判決といわざるを得ない。これをこのまま確定させるわけにはいかない。」と説明しました。
この後、四人の原告がそれぞれ判決の感想を述べ、これから引き続き裁判を闘っていかなければならないと決意表明しました。最後に参加者から、自分の経験などを踏まえて感想と意見が述べられ、引き続き取り組んでいくことを確認しました。(秋山吉則)