京都市左京区一乗寺にある狸谷山不動院で、正月28日の初供養では護摩の火で温めた笹酒(酒を斜め切りした青竹の筒)を柄杓型の青竹の杯に注いで振る舞う行事が行われました(無料)。これをいただくとガン封じになると伝えられており、各地からたくさんの参拝者が訪れています。
 京都八幡市からきた若い女性は「初めてきたけど、ほんとに効くんでしょうか? でもとても美味しい」とにっこり。また、東京から来た中年の男性は「2年前に胃ガンになり内視鏡で手術しましたけど、半年ごとの検査もこの3月で終了です。最後の最後の検査が無事であることを願って東京から来たんですよ。でも、毎日飲んでいてはダメですね」と笑って飲んでいました。
 狸谷山不動院は、通称タヌキダニのお不動さんと親しまれています。毎月28日に「大護摩供養」が営まれ家内安全、五穀豊穣、萬民豊楽などを祈願し護摩が焚かれます。同不動院は平安京の北の鬼門守護神として、タヌキ(咤怒鬼)不動明王が洞窟に安置され尊崇の的であったと伝えます。また剣豪宮本武蔵が同院の滝に打たれての修行をし、己に克つ不動心を体得したところで、江戸時代には木食上人が改修し狸谷修験者の先駆となった寺院です。(仲野良典)