初陣春の甲子園 福知山成美(2)
「全員参加の野球」をモットーにしている福知山成美高校(福知山市)は、1、2年生で85人を数える大人数ですが、選手全員がノックによる守備練習も打撃練習も同じ回数をこなします。レギュラー、補欠、上級生、下級生分けへだてがありません。
「おい、ノック始めるぞ」。田所孝二監督(48)の声がグラウンドに響くとポジション別に選手の列ができます。選手の守備位置を確認しながら田所監督は内野へ外野へと次々とノックしていきます。内野右方向へ飛んでくる鋭い打球に体を上手く使ってキャッチ。外野への打球にはいつでもスタートが切れる体勢で臨む選手たち。フライにはボールから目を離さず、回り込んで落下点へ。捕球が上手くいかなくても声を荒らげることはありません。監督からは「いくぞー、よーし」という声だけが飛びます。選手同士の「がんばって捕れよー」という声の掛け合いが響き渡るグラウンド。一人ひとりが順番に打球を追いかけていきます。
練習中に先輩、後輩が笑顔で会話する姿も見られ、和気あいあいと「野球を楽しむ」雰囲気がグラウンドをおおっています。
昨年の秋季大会でチームトップの打点8を稼いだ西元樹選手(2年)は、「全員が参加するから逆に、お互い刺激しあって、みんなレギュラーを目指す競争心が生まれます」といいます。
田所監督は、「みんなが練習に参加していると思うように気をくばっています。そうすると、『野球は楽しい』と選手らは実感できるでしょう」と言います。こうした田所監督の練習法は、2年間グアテマラで野球指導をした経験によるものです。(続く)