共産党京都市議団 2月議会を終えて、「声明」発表
日本共産党京都市議団(山中渡団長、20人)は19日、市民負担増や民間保育園への補助金削減などの予算案が強行された同市2月定例議会を終えての「声明」を発表しました。
「声明」の全文は以下の通り。
1.経済危機の影響が拡大する中、大企業による「派遣切り」や中小企業の倒産の増加など、市民生活に深刻な影響が急速に広がっています。こうした時だからこそ、京都市には市民のくらしと中小企業の営業を守る地方自治体としての役割の発揮が求められています。
市長が今議会に提案した予算案は、国民健康保険料の大幅な値上げに加え、学童保育利用料から中央斎場の使用料の引き上げまで、22項目の使用料・手数料合計2億9千万円の値上げと、民間保育所に対する補助金の5億円削減を含む事務事業の見直しで56億円もの市民サービス切捨てを行い、市民生活に冷や水をあびせるものです。自民、民主・都みらい、公明の与党会派が全ての議案に賛成し、市民いじめの予算成立に手を貸した責任は重大です。
日本共産党市会議員団は、一般会計、国民健康保険特別会計など市民に負担増を押し付ける値上げ関連議案、及び市内高速道路油小路線斜久世橋区間とランプの用地を80億円で買い戻すための不動産の取得議案、地方独立行政法人化を目指す京都市病院事業会計、民営化をいっそうすすめる市バス事業会計など38議案と副市長、教育長の人事案件には反対し、その他の議案には賛成しました。
1.市長は「安易な値上げは一切やっていない」と開き直り、値上げを正当化する姿勢を示しました。民間保育所補助金の削減については保育園連盟の一部幹部の不適正な会計処理を理由に、5億円の削減にとどまらず、8億円の単費援護費の執行留保を行うことを表明しましたが、民間保育所の運営に重大な支障をきたすことは明らかです。これは昨年11月議会での「プール制の堅持、保育水準の維持拡充」を求める全会一致の決議を反古にするものです。自民、民主・都みらい、公明は自ら採択した決議に対しての姿勢が厳しく問われます。
今回の予算は、市長が策定した「京都未来まちづくりプラン」を初めて具体化し推進するもので、「財政再生団体に陥る」と市民を脅し、大幅な値上げ、市民サービス切捨てを押し付けることになりました。その一方で、高速道路関連予算は94億円、焼却灰溶融炉には23億円を計上し、ムダや不要不急の事業は拡大させています。
また、市立病院整備をはじめ、学校の耐震化工事、左京区総合庁舎整備事業にPFI手法を導入しています。地元発注の拡大にも、経費削減にもつながらないPFI手法導入の問題点を指摘しました。さらに学校給食の一部を、初めて民間委託化するなど、いっそう公的責任を後退させています。
1.党議員団は、緊急経済政策と提案された値上げや補助金削減の内容を、広く市会報告でお知らせし、アンケートに寄せられた切実な要求や声を論戦に生かして奮闘しました。多くの市民や福祉保育労など関係団体から議会への請願や陳情、ファクスが多数寄せられ、与党議員が質問で紹介するなど大きな反響がありました。
党議員団の代表質問や委員会での論戦を通じて、要求実現へ一定の前進を切り開くことができました。雇用悪化の実態を示し、労働者派遣法の見直しを求めた質問に「見直しが必要」「首切りは経営者失格だと思っていた」(副市長)との認識を引き出しました。さらに生活保護行政では「受け入れの窓口体制確立で万全を期す」(副市長)、住宅確保についても「必要性があれば改善する」(副市長)と答弁しましたが、いずれも切実な市民の実態と党議員団の論戦が追い込んでの答弁であり、確実な実行を求めていきます。
この間、議員団は未曾有の経済危機から市民のくらしを守るよう、3次にわたり具体的な対策を求める申し入れを行ってきました。国の緊急対策の実施も受けて、緊急雇用対策が打ち出され、臨時雇用で488人を確保し、中小企業融資枠も大幅に拡大し、緊急融資も引き続き行うなどの前進がありました。さらに、貯め込み分を活用して介護保険料の値下げを初めて行うとともに、不十分ながら独自の保険料減額制度が実現しました。妊婦健診の14回までの拡充とあわせて助産院での健診も対象に含むことが実現し、児童館の130館設置目標の達成など、粘り強い運動による成果です。
また、医療関係者や患者団体の要望を受けて「肝炎対策のための基本法の制定を求める」「細菌性髄膜炎等の重症感染症を予防するワクチンの早期定期接種化を求める」意見書が全会一致で採択できた事も前進です。
1.同和行政の終結では、コミュニティーセンターが条例改正により廃止されることになりました。「総点検委員会報告」でも指摘された「運動団体との密室協議」「一部の施策対象者や特定団体に対する特別扱い」を厳しく総括し、今後あらゆる特別扱いをきっぱりやめるよう強く求めました。
一方、職員不祥事の問題では、相も変わらぬ体質があることが露呈しました。福祉サービス協会の理事長に再就職した京都市のOB職員が、元本保証のない外国債券を専決で購入し、損失を与えた事件でも、保育園連盟に再就職したOB職員が補助金を不正に流用した事件でも、一昨年には保健福祉局が事態を把握していたにもかかわらず、市長は最近まで全くつかんでいなかった事が明らかになりました。不祥事の背景にある「事無かれ主義」「閉鎖的体質」「過剰な身内意識」が残っていることは重大です。又、当時の保育園連盟理事長でもある自民前市議(故人)に使途不明金が渡っていたとの事務局長発言の報道があったものの、自民党は一切、説明責任を果たさず、自浄能力が問われています。
1.3月29日投票で下京区市議補選が実施されます。日本共産党は森野修一さんを公認し、選挙戦をたたかいます。南区の補選に続き、一議席を争う選挙で、どの党が伸びれば、市民のくらしが守れるのかがするどく問われることとなります。市民の厳しい批判の前に、自民党は公認候補を立てられず、無所属候補として、下京消防署長を擁立したところ、民主党は南区では見送った独自候補の擁立を発表しました。民主・都みらい会派から、今回の民主党国会議員主導の候補者擁立に相次ぐ批判が飛び出し、市議会自民党との与党会派協調路線をよりいっそう強める露骨な動きを見せています。広域連合議会では賛成していた「後期高齢者医療制度の資格証明書運用に関する意見書」についても、最後まで自民党と歩調を合わせて反対するという矛盾した対応に終始しました。
国政での企業献金問題でも、京都市会の対応でも、自民党と民主党に違いのないことがますます明らかになっています。日本共産党市会議員団は、市民のくらし・中小企業の営業を守るために市民の皆さんの要求や運動と連帯して奮闘します。閉会後ただちに告示される下京区市議補選の勝利、解散・総選挙に追い込み、市民のくらしを守り支える政治の実現を目指して全力をあげます。