社会問題化している子どもの貧困について討論する「フォーラム子どもの貧困 私たちの提案」(実行委員会主催)が29日、京都市上京区のエンゼルハウスで開催され、研究者、学生、市民ら200人が参加しました。
 第1部では、障害児を持つ母親、教師、福祉事務所ケースワーカー、小児科医など8人が、親の貧困が子どもの生活にどんな影響をあたえているかについて報告しました。少年事件を数多く担当してきた弁護士の吉田雄大さんは、「少年事件を扱えば扱うほど、背景に貧困が潜んでいることを実感している。貧困家庭では親が子育てに十分に力を割けないことから、子どもたちが犯罪被害にあいやすく、自ら犯罪を犯すケースが非常に多い」と指摘しました。
 第2部では、子育ての悩みに答える「らく相談室」の池添素さんのコーディネートーで、吉田弁護士をはじめ、全京都生活と健康を守る会連絡会の高橋瞬作さん、佛教大学教授の鈴木勉さん、京都総評の梶川憲さんの4人が討論を行いました。
 鈴木教授は、19世紀末のロンドンで貧困調査をおこなったチャールズ・ブースの研究成果を紹介し、「ブースが当時、貧困を失くすためには非正規雇用者を無くし労働者を常用雇用化することだと指摘しているのは、現代に通じる重要な点だ」と述べました。
 高橋さん、梶川さん、吉田弁護士は、「子どもの貧困解消は一刻も猶予がない事態」と指摘し、「貧困は自己責任ではない。子どもの権利を保障するためにも、教育費、医療費は負担軽減ではなく無料にすることが求められている」と述べました。
 池添さんは、「子どもの貧困克服のため、支援のネットワークや大人たちの運動を大きく広げよう」と呼びかけました。