松尾寺 舞鶴市のもっとも東にある西国29番札所は、青葉山(頂上は福井県)の京都府側中腹にある和銅元年(708年)草庵と伝えられる松尾寺(まつのおでら)。1300年を経る松尾寺は、国宝の仏画普賢延命菩薩像や重文の仏画6点の他、多数の仏画、書、建造物を有し境内は古雅な幽邃を漂わせています。堂周りには、鉢植えの大きい綺麗な牡丹の花が満開で、境内一面には深緑の紅葉が覆っており、紅葉の名所としても知られています。今は新芽の葉が赤紫色のセイガイ(イロハカエデ系)が境内を染めています。
 松尾寺への参道(約2キロ)は急な山道ですが、5月中旬まで谷添いには白く輝くシャガの花がいたるところに群生し、山間の木々には紫の花を連ねるヤマフジが木々に垂れ咲いており、参拝者を楽しませています。水上勉の生家も青葉山西側(福井県側)近隣で幼少の頃は祖母につれてこられて参詣したとのことで、松尾寺は彼のこころに深く刻まれているといわれています。(仲野良典)
 世の中にあらん限りの言の葉に いくぞかえりの春や松の尾 (忠興)