「応益負担の廃止急げ」 今後のたたかい、新規立法について議論
民主党政権が障害者自立支援法の廃止を打ち出している下で、廃止に向けた運動や同法に替わる新規立法のあり方などを考えるシンポジウム(主催・障害者自立支援法に異議あり!応益負担に反対する実行委員会)が4日、京都市南区で開かれ、障害当事者や施設職員ら130人が参加しました。
同実行委員会に参加し、「応益負担」廃止に向けて提言・運動してきた峰島厚立命館大学教授と鈴木勉佛教大学教授の両氏が対談。鈴木氏は、長妻厚労相が同法廃止を明言したことについて、「歓迎すべき、私たちの運動の成果」と評価した上で、現行の「応益負担」制度が、障害者の受ける保健福祉サービスを「商品」として扱っていることを批判し、「義務教育同様の公共サービスであり、費用は税でまかなうべき。応能負担も認められない」と指摘しました。また、新規立法にあたっては、介護保険制度も含めて、利用料負担の廃止や事業者の非営利原則の再導入、営利資本の参入規制を盛り込むことなどを提言しました。
峰島氏は、応益負担の廃止は「一刻の猶予もならない課題」とした上で、現行の法体系の中で「忘れられていた」、障害を持つ子どもにたいする支援のあり方について、優れた内容を持つ児童福祉法に基づく議論が必要と指摘。今後の運動の進め方については、「制度が後退したり、負担増になっているものはまず元に戻し、その上で新しい制度のあり方を考えることが必要」とのべました。
参加者からは、「精神障害者の通院公費負担制度を元に戻してほしい」「障害者権利条約の中身をもっと知ってもらい、私たちの武器にしてくことが必要」などの発言がありました。
生活保護老齢加算の廃止取り消しを求める「生存権裁判」の原告・松島松太郎さんと自立支援法訴訟弁護団事務局長の藤井豊弁護士が来賓あいさつ。日本共産党の穀田恵二衆院議員が駆けつけ、「応益負担廃止は当然であり、みなさんの運動や国民の憤りが政治を動かしたもの。障害者権利条約や憲法に基づく新しい法律づくりに向けて積極的な意見や提言をお願いしたい」と激励しました。また、自立支援法訴訟の応援ソング「生きるために」を、作詞・作曲した中島光一さんが初披露しました。
最後に、「応益負担」の来年1月からの廃止や障害者施設への報酬支払いを「月払い方式」の改めること、新規立法にあたって障害者当事者の参加や障害者権利条約を前提とすることなどを求めるアピールを参加者全員で確認しました。