白から紅へ変わる酔芙蓉 山科、大乗寺
山科区日ノ岡にある大乗寺は「酔芙蓉(すいふよう)の寺」として知られています。15日まで「酔芙蓉の祭」が開催されていいます。
大乗寺は約300年前に建立されたと伝えられます。当時から尼寺が長くつづいたり、無住職の時代、禅宗から法華宗に改宗され、廃寺寸前でしたが、1992年(平成4年)に本能寺の岡澤海宣師が本山執事長を辞して無住の当寺に移り住みました。
寺院の説明によると、酔芙蓉の苗木100本が寄贈され、年々接ぎ木をして増やし、現在は1300本を超える酔芙蓉が境内一面に花を咲かせるようになり、「酔芙蓉の寺」として徐々に知られるようになったとのことです。
寺では、連日雨模様にもかかわらず訪れる人があり、「マァ、これが酔芙蓉の花。いっぱいでみごとや」「ここに紫式部もある。こっちには素朴な水引も」と雨にけむる酔芙蓉などを堪能していました。
酔芙蓉はアオイ科フヨウ属(Hibisucus mutabilis cv. Versicolor)でフヨウ、ムクゲ、ハマボウ、ブッソウゲなどはみな兄弟。酔芙蓉は京都では8月から10月中旬ごろまで花を付けます。朝、八重の純白の花を咲かせ、昼過ぎ頃からピンクがかり、夕刻から夜にかけて紅色に変化します。写真右の紅色の花は、昨日純白で開花した花です。夕刻にはしぼんでしまう「2日花」で、まるでお酒に酔ったように顔色が変わるので酔芙蓉という名前がつきました。(仲野良典)
芙蓉を前(さき)の身とすれば 泪(なみだ)は秋の花の露
小琴を前の身とすれば 愁は細き糸の音…(島崎藤村)