不眠不休のインフル対応、京都市立だからできた
京都市が2011年から、京都市立病院の自治体直営を止め、独立行政法人化しようとしている問題を考えるシンポジウムが21日、京都市中京区で開催され、市民ら130人が参加しました。主催は「市立病院は市立のままで充実させる市民の会」。
同会代表世話人で医師の津田光夫氏をコーディネーターに、病院看護師・田代誓子、フリージャーナリストの藤田和恵、京都民医連中央病院医師・井上賀元、同病院患者の野谷紀子の4氏が報告を行いました。
田代氏は、新型インフルエンザでは6月までに、同病院の発熱外来が市内受診者総数の8割を引き受けたことを紹介し、「医師、看護師、検査技師、医事課職員など総力あげて、24時間不眠不休で対応した。お金も人手もかかったが、採算を優先する法人ではなく、自治体が直接運営する市立病院だからこそできた。市立病院の理念である、市民に信頼され、安心できる、心のこもった医療を提供する病院として今後も見守っていきたい」と述べました。
藤田氏は、3年前に独法化された大阪府立病院について、「経営改善の成功例と賞賛されているが効率化が最優先され、過重労働の増加、薬の誤投与などが起こっている。医療ミスが起きかねない状況になっている」と告発しました。
井上、野谷の両氏は、医師、患者の立場から、地域医療に果たしている同病院の役割、重要性について述べました。
津田氏は、「警察署や消防署を独法化するという話はない。採算が取れないから、消火活動はしないなどとはならないからだ。市立病院の独法化は、市の財政難を理由に、市民の財産であり命を守る病院を切り捨てるものだ。市立病院で働く職員や労働組合だけの問題ではない。市立のままで病院を充実させるための運動を市民みんなのものとして、広げていこう」と呼びかけました。