可憐な花咲かせる紅白寒梅 梅宮大社
梅宮大社は、今からおよそ1300年前の奈良時代、政治家であった縣犬養橘三千代(あがたいぬかいたちばなのみちよ)が今の京都府綴喜郡井出町あたりに、橘氏一門の氏神として創建。嵯峨天皇によって現在地(右京区梅津)に移された神花「梅」と「招福梅」で知られています。同大社の神苑には古くから梅が植えられ、現在では約40種550本の梅の木が紅や白に色づく一重、八重の多様な花を咲かせ、梅の香りを庭園に漂わせるようになりました。
2月に入って写真のような香天、道知辺や丹晃などの寒梅が見事な可憐な紅白の花を咲かせています。 古来中国より伝来した梅は、花の美しさと香りが賞されますが、薬用として珍重されたと伝えます。同社の梅は子宝を授かる産と梅が合わされており、神職は「一番たくさん梅が咲く見頃は2月下旬から3月上旬ですね。3月7日は「梅・産祭(ウメウメサイ)」で、ここの梅でつくった梅ジュースを振る舞います(無料)」と説明します。
同大社は酒造の祖神、授子の神、安産の守護神、縁結びの神、学業の神、音楽芸能の神などたくさんの祖神が祀られています。また、広い神苑には早春の梅に始まり、3、4月の桜、5、6月の紫陽花、藤などの花が順々に咲き誇る花の名所でもあります。嵐山から近いところですが観光ルートからは少し離れており、静寂な感じでこころ癒してくれるお宮さんです。(仲野良典)
「梅のこぞめの花笠をかざしつ酔ひつうたひつゝ さらば春風吹き来る香(におい)の国に飛びて遊ばむ」 (島崎藤村)