20100313-01.jpg 京都市左京区の真如堂でサンシュユ(山茱萸)の可憐な黄色い小さな花が満開です。
 サンシュユ(=ミズキ科。花の様子からハルコガネバチ、秋に赤く熟す果実からアキサンゴとも呼ばれる)の花は、本堂裏手にあたる石薬師堂前庭に背丈約四メートルの木々一面に咲いています。紅葉時の真如堂は大勢の人が紅葉狩りに訪れますが、冬から春にかけては少なく、本堂の裏手となれば静寂そのものです。石薬師堂には石に彫った薬師如来が安置されており、病を治す仏として信仰されています。
 真如堂は正式名を真正極楽寺といい、天台宗寺院での本堂(重要文化財指定)は京都市内で最大規模を誇っています。1720年代(享保年間)に中国、朝鮮から渡来したサンシュユは、3月はじめ頃から黄色い花をつけます。秋になると1~2センチほどの楕円形の実を付け赤く熟して、牛車腎気丸や八味地黄丸などの漢方薬(強精、止血、解熱作用など)として用いられます。
 一方、真如堂の本堂の北側にはアセビ(=アシビ、アセボ、アセミ、毒紫、ヒササキとも)の木々に白い小さい鈴状の花が小枝に連なって咲き始めています。本堂南側から金戒光明寺へ通じる小径があり散策をたのしむ人もあります。
 「山茱萸にけぶるや雨も黄となんぬ」(水原秋桜子)と認められた短冊がサンシュユの小枝に結ばれていました。(仲野良典)