日本共産党府議団の山内佳子議員は12日、2月府議会閉会本会議の意見書案・決議案討論で、自民・民主・公明・創生提案の「保育制度に関する意見書案」は国の保育所最低基準の撤廃を容認するものとして反対し、共産党提案の他のすべての案に賛成を求める立場を表明しました。
 山内議員の討論(大要)は以下の通り。

 日本共産党の山内よし子です。わが党議員団を代表してただいま議題となっております意見書案と決議案11件について、4会派提案の「保育制度に関する意見書案」に反対し、その他の意見書案・決議案全てに賛成の立場で討論を行います。
 まずわが党提案の「国民健康保険料への国庫負担率の引き上げを求める意見書案」および「国民健康保険料(税)値上げを抑えるため市町村への財政支援を求める決議案」についてです。
 年金生活者や不況で苦しむ業者が多く加入する国民健康保険料の値上げが相次ぎ、払いたくても払えない人が急増しています。滞納者が無理やり保険証を取り上げられ、病院にもかかれなくなって命を落とす、あってはならない悲惨な事件が起きています。
 本府においても先日、西京区のタクシー労働者が、下血を繰り返していたのに資格証で病院に行けず、大量下血して病院に担ぎ込まれたところ大腸がんと肝臓がんを併発していることがわかりました。 またわずかな収入で暮らす父親と娘さんの世帯で、国保料22万円を滞納し、普通預金54000円が差し押さえられ、命と健康も、日々の生活も脅かされるような事態となっています。
 そもそも保険料がこれほど高くなったのは国が国庫補助を50%から25%へと半減したことが原因です。
 先日、わが党の小池参議院議員が高すぎる国保料の軽減を求めて質問しました。鳩山首相も「相当高いという実感はある」「財源確保に努力したい」と述べているのです。
 国民健康保険が本来の社会保障としての役割を果たし、国民のいのちと健康を守る制度として再生するためにも国庫負担率を引き上げると同時に、高すぎる保険料を緊急に引き下げるための国の財政支援が必要です。よって本意見書案への賛同を求めるものです。
 また府内の自治体では京都市が2年連続保険料を値上げし、4人世帯、300万円の所得で45万円もの保険料になり、また京丹後市や綾部市、木津川市でも20%近い大幅値上げとなっています。
 ところがこうした時期に知事は市町村を応援するどころか、市町村国保への補助金7億円をゼロにしてしまいました。 国の国庫負担の削減に合わせて同様に本府も市町村への国保の支援を打ち切ったのです。
 補助の復活を求めた西脇議員の質問に対しても、知事は「市町村が対応すべき」と府民の痛みに心を寄せない冷たい答弁を行いました。
 市町村の保険料の値上げに拍車をかける国保の支援打ち切りは、許すことはできません。今やるべきことは市町村へのあたたかい財政支援をおこなって保険料の値上げを抑制することです。よって本決議案への皆さんの賛同を求めるものです。

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 次にわが党提案の「子どもの医療費助成の拡充を求める意見書案」と「子どもの医療費助成制度の拡充を求める決議案」についてです。
 子育て世帯の貧困と格差の広がりで、「財布の中を確認してからでないと子どもを医者に連れて行けない」「学校で医者に行くようにすすめても受診できない」など、深刻な事態が広がっています。
 先日の予算委員会でわが党のこくた恵二衆議院議員は「子どもの医療費無料化を国制度として行なえ」と質問し、鳩山首相は「優先課題」という認識を示しました。
 子どもの医療費助成の拡充は待ったなしです。
 今、府内各地の自治体において助成制度の拡充が急速に広がっています。伊根町でも来年度から高校卒業まで拡充、井手町、南山城村、宮津市でも拡充を予定し、さらに舞鶴市と綾部市も拡充の方向を示していますので、京都府水準のまま据え置かれているのは京都市だけになります。
 知事は京都府の子どもの医療費助成は全国トップクラスといっておられますが、京都府の水準では子どもの命が守れず不十分だからこそ、京都市以外の全ての自治体で、府の制度に上乗せをしているのです。全国トップクラスだと言ってる場合ではないのです。
 府内のどこに住んでいても安心して医療にかかれるようにするためには、通院もせめて小学校卒業まで無料にすることが求められています。よって国に助成拡充を求める意見書案と、本府の助成制度を拡充する決議案に賛同をお願いするものです。

 次にわが党提案の「私学授業料の無償化に関する決議案」についてです。
 貧困の広がりと昨年来続く経済不況の元で、本府の私立高校に通う生徒たちの状況も極めて厳しく、学費が払えなくて卒業できなかったり、中途退学を余儀なくされる生徒がふえています。
 国の公立高校の無償化と私立高校生への支援が来年度から実施される予定ですが、私立高校生については授業料の負担が残ります。本府も国の財源などを利用して、就学支援制度の創設を提案されていますが、極めて不十分です。
 知事は、大阪と滋賀が県外の私立高校に通う生徒への助成を打ち切ったことを理由にして、同じ府民でありながら、府外の私立に通う生徒1700人を対象から外しています。このことは教育の機会均等を奪うもので到底府民の納得を得られるものではありません。奈良や兵庫では継続しているのです。さらに府外から1万人近い生徒が府内の私立高校に通学しています。府外の私立高校に通う生徒も本府の支援制度の対象にし、さらに知事がリーダーシップをとって近畿府県の知事によびかけて相互支援を復活すべきなのです。
 また今回350万円以下の世帯に対して、授業料を全額無償化するとのことですが、学校負担があるために、学校が予算を組まなくては救われません。現在の府の授業料減免制度において、積極的に制度を活用している学校でも「100人分しか予算が組めないので、年収わずか200万円程度の世帯でも減免を受けられない」とおっしゃっているのです。
 学校の事情に左右されずに必要な子どもたちの授業料を減免するためにも、学校負担をなくすべきです。本決議案は教育の機会均等を図り、公私間格差を是正し、子どもたちの学ぶ権利を保障するためのものであり、本決議案へのみなさんの賛同を求めます。

 次にわが党提案の「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成を求めることに関する意見書案」及び「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成を求めることに関する決議案」についてです。
 子宮頸がんは、20代から30代のがんのうち、死因の第一位となっています。しかし予防が可能で、健診とワクチンの接種によりほぼ100%予防できるとされています。すでに諸外国では公費によるワクチン接種が行われており、日本においても昨年秋にワクチンが承認され、10歳以上の女児を対象に接種が始まりました。しかし費用が3回で5万円前後と高額なため、接種したくてもできないと言う声があがっています。経済的な理由で本来助かる命が失われることがないようにすべきです。
 本意見書案は国にワクチン接種費用の助成を求めるものであります。
 また決議案について、すでに全国の自治体で公費負担が広がっているなかで、本府として助成制度を設けて公費負担を促進しようとするものであり、本意見書案と決議案に賛同を求めるものです。

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 次にわが党提案の「30人以下学級の早期実現を求める意見書案」についてです。
 すべての子どもたちにゆきとどいた教育を保障するためには、1クラスの人数を引き下げることが必要です。すでに30人学級を実施している学校の教員は「30人以下学級になって子どものつまづきが見えてきた、つぶやきが聞こえてきた」と語っておられました。
 現在日本の学級編制基準は40人ですが、アメリカでは小学3年までは24人、6年生までは29人ドイツは小・中学校で30人となっています。日本は先進国中でも遅れたクラス人数編成が続いています。
 子どもたちに向き合う教員を確保し、標準法を改正して1クラスの人数を引き下げることは喫緊の課題であり、本意見書案への賛同を求めるものです。
 次に4会派提案の「保育制度に関する意見書案」とわが党提案の「現行保育制度の拡充を求める意見書案」についてです。
 政府は、国が定める保育所や福祉施設などの最低基準の原則撤廃の方針を明らかにしました。
 この方針は、保育や介護など福祉の質を確保するために国が定めている施設基準について、原則として自治体まかせにするもので、保育所の園庭の設置義務や避難経路の確保、防災カーテンの使用など建築基準法に上乗せされた耐火基準も撤廃されることになります。
 また、待機児童が多い都市部では居室面積の基準も自治体に委ねることにしており、詰め込みをいっそうひどくしかねない内容です。
 本府においては知事が「全国一律の基準を決める必要があるのか。このような基準を設けて事業を進めていたのでは無駄がたくさん出てしまう」と国と同様の立場での主張をしておられます。基準があってもそれを上回る施設整備や人員配置などは十分に可能であり、基準の撤廃は保育の水準を後退させ、子どもの最善の利益を脅かすものです。
 国の動きに合わせて、すでに京都市においてはこれまで公的責任を保障してきたプール制の改悪が検討されていますが、ベテランの保育士が排除され、安上がりの保育が狙いで、多くの関係者や保護者から、これまでの保育の質が保てないと、大きな反対の声があがっているのです。
4会派提案の「保育制度に関する意見書案」は「子どもたちのすこやかな育ちの場が保障されるためには行政の公的責任が不可欠」としながら、一方で国の保育所最低基準の撤廃を容認するものであり反対です。
 わが党提案の「現行保育制度の拡充を求める意見書案」は子どもの最善の利益を確保するために、現行保育制度の拡充を強く求めたうえで、地方の財源補償を求めるものであり、みなさんの賛同を求めるものです。

 最後にわが党提案の「労働者派遣法改正案の抜本的修正を求める意見書案」についてです。
 今国会に政府が提出しようとしている労働者派遣法改正案は、意見書案でも述べられているように、常用型派遣を規制の対象外とし、登録型派遣の専門26業務は禁止の例外としているなど、この「改正案」のままでは、派遣労働の現場は、これまでと同じような「使い捨て」がまかり通り、低賃金で劣悪な労働条件も改善されません。
 さらに規制緩和を進める改悪部分も含まれており、派遣先による「事前面接」の解禁や専門業務で働く労働者に対する直接雇用の申し込み義務の適用が除外されています。
 これでは派遣先に採用権を与えながら、雇用責任は免除され、派遣労働者の正社員への道も閉ざされてしまいます。 政府案は財界の圧力に政府が屈したといわれても仕方のない中身です。
 日弁連も政府案に反対を表明し、先日労働者派遣法の抜本改正を求める意見書を厚生労働大臣に提出したところです。
 雇用は正社員が当たり前であり、派遣は臨時的・一時的な業務に限定し、正社員を派遣に置き換える常用代替は禁止するという原則に立った抜本改正が求められているのです。
 本意見書案への賛同をお願いし、討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。