墨染寺
伏見区の京阪墨染駅付近にある墨染寺(ぼくせんじ:墨染桜寺〔ぼくせんおうじ〕とも)の本堂前庭園の桜が満開です。仏道に帰依した清和天皇勅創の貞観寺の旧跡と言われている寺院です。891年に藤原基経(もとつね)が亡くなり、上野峯雄(かんづけのみねお)が嘆き悲しんで「深草の野辺の桜し心有らば今年ばかりは墨染に咲け」と詠んだ桜があり、今の桜はその3代目と伝えられています。一時荒廃していましたが、秀吉が厚く信奉し、寺名も前掲の和歌から「墨染桜寺」と改めました。しかし寺院は再び長く荒れましたが、学妙上人が再興し今日にいたります。
墨染寺の南側が欣浄寺(ごんじょうじ)で、池もある本堂前提の桜が静かに7分咲きの花をつけています。1230年に道元禅師が創建したと伝わる寺院で、本堂には俗に「伏見の大仏」と呼ばれる仏像があります。有名な伝説に、当寺院に深草少将の屋敷があって、東山を超えて小野小町が住む随心院に通ったとか。今も「少将通いの道」や、少将と小町の塚、今なお湧く「墨染井」と呼ばれる井戸があります。
この欣浄寺の東に琵琶湖疎水が流れています。三条蹴上と同じく舟台が登っていくレールが敷かれていたインクライン(現・国道24号線)があり、舟溜まりがあります。インクラインから下流は伏見城の外堀(濠川)に連結され、中書島から宇治川に合流します。この舟溜まりの岸辺には「区民の誇りの木」に指定されているソメイヨシノがあり、満開の一歩手前。でも鮮やかです。(仲野良典)
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桜スポットDATA
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- 住所:京都市伏見区墨染町741
TEL075・642・2675 - 交通:京阪本線「墨染」下車徒歩3分
- 拝観時間:07:00~19:00
- 拝観料:境内自由
- 開花状況:
- 品種:ソメイヨシノ