宇治川右岸散策径
宇治川界隈はほとんどの桜が満開に近い7分咲き。4日には花見客もどっと訪れ美しい桜を堪能したようです。宇治橋から上流の右岸の小径には世界文化遺産に登録され、源氏物語ゆかりの寺社が満開の桜とともに立ち並んでいます。上流に向かって歩いてみましょう。
まず、徒歩約2分のところに聖徳太子時代から宇治橋の管理にあたっていたと伝える真言律宗の橋寺放生院(常光寺)。山門をくぐり階段を上がると大きなソメイヨシノが満開。重要文化財指定の地蔵菩薩像や不動明王像が安置されている本堂や重要文化財の「宇治橋断碑」と呼ばれる石碑もあります。
橋寺から「さわらびの道」の石畳をたどること3分、突き当たりが世界文化遺産登録の宇治上神社。手前の鳥居付近の見事な大きなソメイヨシノが満開。神社建築では日本最古に属している国宝の本殿には、悲運の皇子莵道稚郎子(うじのわけいらつこ/うじのわきいらつこ)が祀られています。
「さわらびの道」を少し戻ると、宇治上神社と二社一体になっている宇治神社。宇治上神社に祀られている莵道のほか、父の応神天皇や兄の仁徳天皇も祀まつられています。外陣の狛犬は鎌倉時代作で気品ある格調高い獅子です。鳥居の正面の宇治川塔の島に架かる朱色の橋が朝霧橋で、ここも見事な満開の桜。
宇治神社からすぐ左手の小径を上がって5分ほどで恵心院(えしんいん)=821年(弘仁12)創建=にたどりつきます。弘法大師創建と伝えられる古刹龍泉寺を、名高い恵心僧都源信が再興した寺院です。恵心僧都は、『源氏物語』宇治十帖のヒロイン浮舟を助けた横川の僧都のモデルと言われています。境内にある、日本3大桜名木の一つ、福島県三春町にある樹齢1000年の古木から移植された三春滝桜(みはるだきざくら)が見事です。2月上旬から咲いていた、寒緋桜と大島桜が自然交配した河津桜(かわづざくら)はすでに散ってしまいましたが、同境内には、葉っぱの真ん中にあるつぼみから花びらが開くミズキ科のハナイカダや台湾産の3本葉の松などめずらしい草木がたくさん栽培されています。
道元禅師が伏見深草に開いた由緒ある寺で紅葉の名所である興聖寺は、発電所放流川に架かる紅欄干の橋を渡って左手、琴坂と言われる参道を200メートルほど登ったところにあります。本堂左手に宇治市名木100選に指定されている高さ9メートル、幹周1.7メートル、樹齢120年の巨大な「やまざくら」があります。今は5分咲きで4月11日頃に満開を迎えるようです。(仲野良典)
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桜スポットDATA
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- 橋寺:京都府宇治市宇治東内11
拝観時間:09:00~17:00(冬季16:00まで)
拝観料:境内自由。橋寺本堂300円、宇治橋断碑(冬季非公開)200円 - 宇治上神社・宇治神社:京都府宇治市宇治山田
拝観時間:宇治上神社=09:00~17:00(冬季16:30まで)、宇治神社=境内自由
拝観料:境内自由 - 恵心院:京都府宇治市宇治山田67
拝観時間:09:00~17:00
拝観料:境内自由 - 興聖寺:京都府宇治市宇治山田27
拝観時間:09:00~16:00
拝観料:境内自由。本堂拝観は志納300円以上(要申込) - 交通:京阪宇治線「宇治」下車
- 開花状況:
- 品種:ソメイヨシノ ほか