日本共産党京都市会議員団は20日、記者会見を行い、京都市が国民健康保険料滞納者に対して、年金の差し押さえや、保険証が早急に必要な入院患者に保険証を発行拒否するなど、市民の命より保険徴収を優先している実例を告発しました。
 同議員団は、「病気になって、一刻の猶予もない状況なのに、保険料を担保に交付しないなどの事例は、国保法の規定に反するもの。本来、市民の命のとりでとしての国保の役割、地方自治体の役割に逆行するものと、断ぜざるを得ない」としています。
 同議員団が明らかにした実態の主なものは以下の通りです。
 ○事例1=生活維持費の差し押さえ タクシー運転手、2人の娘(無職)と3人暮らし。不況によりタクシー収入が落ち込み、年金と合わせても月5万6000円で生活。3年前から国保支払い不能となり区役所に相談。滞納分の保険料を支払うよう指導されるばかりで、年金支給日当日に、預金口座の全額を差し押さえされた。
 ○事例2=短期証を担保に保険料の取立て 派遣社員で仕事が無く、保険料が払えず、4年間で5万6000円を滞納し、保険証を取り上げられ、資格証明書となる。4月、心筋梗塞で緊急入院。母親が区役所に保険証発行をもとめたところ、滞納分の半額を条件として提示される。4月の年金支給日に、工面して滞納分の半額を持参し、再度区役所に発行を求めたが、「残りを5月中に支払う誓約書を書かないと発行できない」とまたも拒否。次の年金支給日の6月まで待ってくれと頼んでも聞き入れられず、知人から借金して全額納入して、保険証をやっと受け取った。
 ○事例3=資格証明書による受診抑制がまねく重症化 年金は月額5万5000円、パートの娘と2人暮らし。09年3月から保険料を滞納し、保険証を取り上げられ、資格証明書となる。カゼをひいたが、医療費が10割負担となることから受診できないでいた。そのため、カゼから肺炎となり、意識不明で緊急入院するまでに、症状を悪化せていた。
 ○事例4=徹底した資産調査 滞納で1カ月の短期証。月2000円の分納に応じていたものの、分納額の増額を求められ10年3月に差し押さえの調査を受ける。祖父から孫にと「大学の費用」として贈与された預金15万6000円あまりを差し押さえされる。