高瀬川アジサイ 6月中旬までは、京都の寺社の庭園や河川に咲くアジサイが最も美しい頃です。
 写真は高瀬川の五条通りを少し下がった榎橋付近のアジサイです。五条通りから七条通りまでの高瀬川の岸辺には、カリン、キリ、イヌマキ、カエデ、ムクゲ、サンゴジュ、アオギリほかたくさんの樹木がびっしりと茂っています。7月頃までは紅白の花をいっぱい咲かせているキョウチクトウ、赤い可憐な花のザクロ、淡い青い実をブドウの房のようにつけているヒイラギナンテンが美しいです。地元のお年寄りは、「いろんな草木でいっぱいやろ。水もきれいでホタルが飛ぶようになったんだよ。アジサイもあちこちにきれいに咲いてる」と笑顔で語ってくれます。
 アジサイはユキノシタ科。日本古来のアジサイはいくつかありますが、ガクアジサイが主流で、大きいボール状のアジサイはセイヨウアジサイ。これは日本のアジサイが中国経由でヨーロッパに移植され、19世紀から20世紀にかけて数百もの品種に改良されて日本に逆に渡来し、すべてが観賞用のセイヨウアジサイ(ハイドランジアとも)と言われています。
 ガクアジサイはどことなく凛として素朴さが感じられますが、同じ株でも多くの品種は薄緑色から、赤や青・紫色になり再び淡い紅色になっていきます。「七変化」という異名があり、心が変わりやすい、変身する花として昔は嫌われ・不吉な花として庭園などには栽培されませんでした。平安神宮や三室戸寺、藤森神社、三千院ほか有名なアジサイ庭園はずっと後に栽培されたようです。(仲野良典)