大数珠回しで子どもの幸せ願う地蔵盆
8月21日22日は地蔵盆。京の街角からは「カンカンカン…」と響く鐘の音が聞こえてきます。
各町内には地蔵菩薩の小さな祠があり、早朝から繰り出して、祠の菩薩像を移設し、飾り付けた階段状の祭壇をつくります。祭壇にはほうずきや杉葉など地味な花束とハスのつぼみや綺麗な花束や落雁、薩摩芋などのお供えを飾ります。入り口には子どもの名前を書いた紅提灯や地口行灯が吊されます。
地蔵盆は23日から24日(裏盆:盂蘭盆)に行われていましたが、近年は土・日曜日に振り替えて行われています。戦乱や疫病の大流行で子ども達も早世する平安時代末期、末法思想が流布しました。三途の川の賽の河原で遊ぶ子ども達を地蔵菩薩が地獄の鬼から守り、子どもたちが健やかに成長するよう祈る庶民の願いから町衆が造りあげてきたようです。戦後は各町内でお菓子や金魚すくい、ゲームなど子ども達を中心に創意工夫した取り組みがされています。しかし、町中は子どもが減ったり、町屋が少なくなり、地蔵盆も小さくなってきています。
各町内では読経に合わせて直径2~3メートルもある大きな数珠をの「百回まわし」(写真=百万遍と言われる)も行われ、各家庭には供養品や日常品などが配られます。宗教行事を越えた町内の親睦や交流がはかられる京の伝統文化でもある風物詩の一つです。(仲野良典)