〈1〉日本共産党の地方議員(上) 命と暮らし、自治体再生へ奮闘
住民と力合わせ要求実現
昨年の総選挙で誕生した民主党政権は、国民から強く批判された「構造改革」路線の自治体への押し付けを「地域主権改革」の名のもとに手直しし、保育などの公的責任の投げ捨てや、「道州制」への策動、関西広域連合作りなどの動きを強めています。
京都でも税の取立てを強制的に行う税機構立ち上げ、際限ない保険料負担増の危険がある国保の京都府への一元化など自治体の役割を投げ捨てる動きが強まっています。
「財政危機論」「公務員攻撃」「議員定数削減」などがふりまかれる中で、「住民の立場に立った自治体のあり方」「財政再建をどうするか」「議会の役割発揮」などについて日本共産党の地方議員が果たしている役割は大きなものがあります。
国保・子ども・医療 暮らしを守る実績
今年の予算案では、国保料(税)の値上げが13自治体で提案され、「これ以上値上げされたら医者にかかれなくなる」と強い怒りが出される中、日本共産党議員団は住民とともにたたかい、他会派にも働き掛けて、値上げを許さない大きな世論を作り出しました。
平均18.8%の値上げ提案がされた南山城村では、党議員の訴えに党派を超えて怒りが広がり、全員協議会で村長に見直しを求め、値上げを半分に抑えさせました。
舞鶴市でも5%の値上げを2%にまで引き下げさせ、京丹後市や木津川市では17%もの値上げ案に賛否が割れ、僅差で可決はしたものの、「国は国庫負担を増やし責任をはたすべき」という意見書が全会一致で可決されました。同様の意見書は8自治体に広がりました。
また、子どもと高齢者からの保険証取り上げが命にかかわる問題として浮上する中、子ども無保険救済法が成立。高校生以下の子どもには無条件に短期証を発行することになりました。
さらに、09年1月には、小池晃参院議員(当時)の質問主意書への答弁として、厚労省は「生活に困窮し、医療を必要とする人は、大人であっても短期証を出す」ことを明言し、各自治体に通達しました。
同年5月には、「失業によって国保に入った人には、国保料減免を積極的におこなうよう」自治体に指示が出され、四半世紀続いた「保険証取り上げ路線」に風穴があきました。
子どもの医療費無料化は、この間大きく前進しました。
これまで遅れていた綾部市、舞鶴市を含む10自治体で拡充され、大きく前進しました。
4月の知事選で山田知事もマニフェストで取り上げざるを得なくなり、京都府は今年の6月補正予算で検討費として100万円計上しました。10年前の知事選挙で「民主府政の会」の森川明候補がこの問題を政策に掲げたところ、荒巻知事(当時)は、「絵にかいた餅」と発言。しかし、その後の10年間、党議員と住民の粘り強い運動によって子どもの医療費無料化の前進が次々と切り開かれました。
雇用の確保・京都経済を守るために
深刻な雇用の確保や京都経済を守るために、日本共産党の地方議員は奮闘してきました。
不況対策では、議員が町工場を一軒一軒歩いて深刻な経営実態をつかみ、その中で出された「雇用調整助成金の改善」や「固定費やリース代への支援」などの必要性が明らかになり、直ちに国や府に申し入れました。国も「固定費支援」の必要性を認めざるを得なくなり、融資制度の改善や、雇用調整助成金の改善に結びついていきました。
亀岡市では、党議員団と業者の強い要求で、50万円未満を対象とする小規模修繕工事希望者登録制度(107社)が6月から実施されました。工事を受注した事業者からは、「適正価格で見積もりを出したが、受注できて喜んでいる」と歓迎されています。
住宅改修助成制度も与謝野町での大きな経済波及効果の実績を党議員が各議会で紹介し、実施をせまる中で、様々な形での助成制度が広がっています。これまで制度を拒否してきた京都府も住宅改修助成につながる制度として「バリアフリー改修助成」「府内木材利用のリフォーム拡充」を前進させるなど変化が生まれています。
雇用対策も大きく前進させました。
非正規雇用の拡大や派遣切りの横行、「貧困と格差の拡大」など、雇用・青年の働き方の問題が国民的焦点となるなか、三次にわたる青年雇用アンケートなどを力に地方政治の課題として施策の前進を求め続けてきました。
この中で、山田知事は従来の態度を180度転換して08年2月の前窪質問に、「正規雇用の大切さが見直される時期にきている。関係法令も整備されるように意見をのべていきたい」と答弁しました。
その後党府議団の繰り返しの要求に、08年末には緊急雇用対策本部を設置させ、各種の緊急雇用対策を実施させ、2010年から失業者の相談体制を雇用・住宅・生活など総合窓口として通年化する方向へ前進させました。
京都市では、当初「雇用対策は、国と府の仕事」と、担当窓口すらない無責任・無策の状態でありましたが、日本共産党議員が「雇用対策本部の設置」を繰り返し要求(03年9月以来)してきたこともあり、08年4月に「青年雇用対策の専門部長の新設」と「市あげてとりくむ横断的な組織整備」を表明しました。
学費アンケートを通じて改善策実現
京都府議団は、この間、公立高校授業料無償化にともない、年間平均64万円にも上る私立高校の授業料について、無償化対象(所得350万円以下)が多くなればなるほど、学校負担が増え経営を困難にすることから学校負担の見直しを求めてきましたが、6月の府の補正予算で支援策が講じられることになりました。
こうした成果の背景には、府会議員団が、学費・奨学金アンケートに取り組み、高校や大学に通う生徒・保護者から、学費および諸費の負担実態をつかみ、その改善をいっそう進めるために駅頭配布やホームページでの協力を訴え、府民の生の声・実態を突き付けて論戦に生かしたことがあります。
京丹後の府立高校の定員を上回る合格の実現も父兄父母の切実な願いを受けとめ、府会・地方議員団が連携してたたかった成果です。