住宅改修助成制度提案と運動実り、実施自治体拡大

 リーマンショック以降の長引く経済危機の中で、多くの業者から「仕事が無い」「単価が切り下げられ、売り上げが激減」と悲鳴が上がっています。府内の日本共産党議員団は、苦しむ業者や市民の実情を調査し、市民や業者団体と力を合わせて「住宅改修助成制度」など「仕事おこし」施策の実現に全力をあげてきました。実施された自治体では、大きな成果をあげ、業者や住民から喜ばれています。

与謝野町は15倍の経済効果

与謝野町住宅改修助成制度 「住宅改修助成制度」は、住民が自宅などを改修するとき、一定の金額などの基準を満たせば自治体から補助金を受けられるものですが、その経済効果の大きさから各地で実施する自治体が広がっています。
 京丹後市では同制度が実施(50万円以上の工事に対し、助成3万円)されています。京都市でも分譲マンションのバリアフリー改修助成制度を実現するなど、府内の多くの自治体で部分的な助成制度が行われています。
 とりわけ大きな注目を集めているのが15倍もの経済効果を上げている府北部・与謝野町の住宅新築改修等補助金交付制度です。
 同町は、和装産業の疲弊に農業の衰退など経済が大きく落ち込むもとで、「町経済の活性化を図る」として昨年8月、同制度を実施しました。業者や住民から喜びの声が上がっています。
 同町で「三和工務店」を営む葉賀吾市さん(55)は、これまで12件の住宅改修助成制度を利用した仕事を受けました。リフォームなどの依頼がくると、同制度を説明し、顧客からも喜ばれていると言います。

業者も客も喜ぶ制度もっと

 今年、葉賀さんに仕事を依頼したAさん。当初はふすまなどの建具の取り替えを約40万円の予算で頼むつもりでした。
ところが見積りした葉賀さんが、「町から助成金をもらえる制度がありますよ」と同制度について説明するとAさんは、「そんな制度があるのですか! なら将来やろうと思っていた床暖房や玄関の改修もこの際一緒にして、助成の満額をもらいたい」となりました。
 床暖房やトイレの改修、戸の張替えや玄関付近の改修をすることになり、150万円の工事に変更(助成金は満額の20万円)しました。
 葉賀さんは言います。
 「制度を説明すると仕事が増えることもあるんです。不況で大変ですが、この制度もあり、なんとか売り上げを維持してやっています。お客さんも喜んでくれるし、行政はこういう仕事おこしの事業をどんどんやってほしい」

65%の業者が仕事を受ける

 同町の制度は、町内に住宅を持つ住民が、町内業者に依頼して20万円以上の住宅修繕や改修工事を行う場合、その費用の15%(限度額20万円)を助成するもの。同町がこれまで投入した額1億1698万円に対し、17億2900万円の事業へと、約15倍の経済効果が上がっています。
 同制度実施後、全世帯数(約9000世帯)のうち8・3%にあたる751世帯が同制度を利用。町内の関連業者210業者に対し、約65%にあたる130以上の業者が仕事を受けています(9月22日現在)。
 同町の担当者は「予想を上回るペースで申請が出されています。毎日のように申し込みがあり、住民のみなさんからも喜んでもらっています。町内の6割以上の業者が事業に関わっていますが、実際は下請けや同時に行う工事などでもっと仕事が増えており、数字以上の経済効果があると考えています」と語ります。[[SplitPage]]

亀岡市 小規模修繕に登録制度

 住宅改修助成制度創設まで、日本共産党町議団の論戦、同町内の京建労岩滝分会や加悦谷分会など業者と住民らの粘り強い運動がありました。同町議会で与党の日本共産党は、主要産業の織物や農業などが衰退し、過疎化が進むなど経済が疲弊している地域経済の実態を調査。同時に町独自で住民に実態調査することを求め続けてきました。これに町は応え、09年1月に約3500世帯に及ぶ実態調査を実施しました。
 苦しい町民の実態が明らかになり、同町議団は旧加悦町で約18倍もの経済効果をあげていた住宅改修助成制度創設を提案。
 太田町長は09年6月議会で同制度実施を3年間実施することを表明。09年8月から実施しましたが、同年4月以降の工事にさかのぼって同制度の対象に含めるなど、町民の暮らし応援施策として実施しています。

零細業者でも受注ができる

 今春、亀岡市で府内で初めてとなる小規模修繕工事登録者制度が始まりました。日本共産党市議団が、住宅改修助成制度とともに「仕事おこし施策」として求めてきた制度です。建設業者から喜びの声が上がっています。
 同制度は、市が発注する50万円以下の少額で内容が軽易な修繕工事について、入札参加資格のない中小建設関連業者が登録し、受注機会を拡大することが目的。登録できる業者は市内に本社がある法人か、市内に住所登録がある個人に限られています。
 他府県40自治体以上で実施されているもので、日本共産党と亀岡民商は市の担当課と懇談し、厳しい経営の実態を訴え、同制度の実現を求めました。また同党は09年6月議会で実現を迫り、市長は「研究していきたい」と答弁しました。
 「これだけ不景気な中、仕事がもらえて助かります」
 こう話すのは山口明義さん(73)=屋根工事業=。同制度に申し込み、7月に市営住宅の屋根瓦300枚の差し替えと、屋根の補修工事の仕事を得ました。
 山口さんは、「市の仕事をしたのは初めてです。これまではわしら小さい業者はなかなか受けられなかったんですよ。建築関連は不況で、うちの売り上げはピーク時の10分の1ほど。共産党が頑張ってくれたことは初めて知りましたが、こういう仕事おこしをどんどんやってほしい」と喜びを語りました。[[SplitPage]]

京都府 3つの助成制度で部分実現

長年の運動、府を動かす

 日本共産党府議団(新井進団長、11人)は長年にわたり京都府に、住宅改修助成制度の実施を求め、住宅耐震改修助成制度(2007年4月)、バリアフリー改修助成(2009年7月)、府内産木材利用助成制度のリフォームへの拡充制度(今年7月実施)を創設させ、府政を動かしています。
 山田知事は当初、同制度について「融資制度を活用してもらうのが適当」(02年6月議会)、「市町において実施されているものと認識している」(03年6月議会)と述べ、実施を拒否し続けました。
 日本共産党は京建労などの業者団体とも協力して運動を進め、同制度を実施している秋田県などの自治体の事例を紹介し、論戦を展開しました。こうした中、各地の要求運動と同党議員団の奮闘で同様の制度を実施する自治体が増えるにつれ、知事は「住宅改修助成制度については、高齢者住宅改修制度のほか、耐震改修や太陽光発電事業や、府営住宅のバリアフリー化などを推進し、こうしたきめ細かな事業に今はしっかりと取り組むことが重要」(09年11月議会)と変化。事実上「住宅改修」に対して助成金を出す方向にかじを切りました。(週刊しんぶん京都民報2010年10月3日付)