問題だらけの天ケ瀬ダム再開発 市民に説明を 「市民の会」が申し入れ
「宇治・防災を考える市民の会」(志岐常正代表)は17日、山田知事に対し、12月府議会に提案される「天ケ瀬ダム再開発事業に関する国への意見」についての「問題点」と「市民説明会開催」の申入れを行いました。
全文は以下の通り。
今般、国土交通大臣および水資源機構理事長から貴職に意見照会のあった「天ケ瀬ダム再開発事業」について、以下に示す重大な問題点があり「変更容認」でなく「事業中止」の意見を上げられるよう強く申し入れます。
また12月議会に報告、議決される前に、貴職の考えを当会及び宇治市民に説明し意見を聴取する説明会の開催を要請します。
この件に関しては、2008年11月2、3日と京都大学において開催された「川の全国シンポ」において山田知事自身が特別講演され、その中で天ケ瀬ダム再開発について 「放流量を増やす計画であり増やせば増やすほど脆弱な下流地域への問題点が出てくる」ことを指摘され、「皆様に十分な説明をしご意見を伺いながら大所的な意見にならないかもしれないけれど、 それは常にフィードバックをして住民の皆様とともに進んでいく決意であります。」と講演されています。
しかしながら誠に残念でありますが、 未だに一度も貴職による市民説明会が開催されていません。全国に発信し約束された「知事の決意」を今回は、履行されますよう重ねて申し入れます。
- 今回、 国より意見紹介を求められている 「天ケ瀬ダム再開発の基本計画の変更」 は、法定諮問機関である淀川水系流域委員会の指摘、 最終答申を無視して強行決定された計画そのものであり、何ら変更もされていないものです。
天ヶ瀬ダム再開発計画は、430億円をかけて新放水路トンネルを建設し、ダムから宇治川に1500トン/秒を放流するもので、知事も危惧されている下流住民への危険性が増大するものです。 この点でこの間どのように整理されたのか貴職の考えを説明していただきたい。 - 宇治川1500トン/秒放流のために今年2月に塔の島付近の河床掘削工事が強行実施されました。 その結果土のう流失事故が発生し、国の河川行政に対する安全性への信頼が失墜・崩壊しました。
貴職は、この事故をどのように認識されているのか説明をしていただきたい。 - 貴職の説明資料では、再開発の効果として「宇治地点の水位が80~190センチ低下する」と記載されています。再開発によりダム地点の放流量が900トン/秒から1500トン/秒に増量されるのになぜ低下するのか説明願いたい。
- 天ケ瀬ダム再開発の費用概算額が約330億円から約430億円と100億円の増が示されていますが、その根拠と事業内容の内訳を説明願いたい。また430億円の負担割合(国、京都府、大阪府、滋賀県、大津市、関電等)の内訳についても説明していただきたい。
- 河川整備計画では、鹿跳付近のトンネル事業が予定されていますが、建設費用は幾らで京都府の負担は幾らになるのか説明していただきたい。
- 再開発事業の利水事業への参入で京都府の負担金は幾らで、府営水道料金への影響はどれぐらいになるのか説明していただきたい。
- 貴職の説明資料では事業の効果なるものだけが記載され、ダムから発生する低周波音対策、環境、景観問題などマイナス面は記載されていません。事業推進でどうなるのかも明らかにしていただきたい。
以上の回答とあわせ宇治での市民説明会の開催をよろしくお願いいたします。