日本共産党と住民が力合わせ 国保証取り上げ許さず

 「国保の保険料が高すぎて、病院に行けず命を落とす。そんなことは絶対許さない」。国保料(税)の引き上げを繰り返し、保険料の滞納世帯からは保険証を取り上げる。こうした市町村国保行政に対し、日本共産党は保険料引き上げに反対し、保険証の取り上げ中止を一貫して要求。「保険証取り上げ路線」を中止させるなど、住民の命の守る大きな役割を果たしています。

滞納世帯でも子には保険証

 「あの冷たい国保を変えさせた。やっぱり共産党やな」。08年11月、かみの診療所(京都市西京区)の岩橋進事務長(59)の目が、新聞記事に釘付けになりました。日本共産党京都市議団(山中渡団長、19人)が本会議で、国保滞納世帯であっても中学生以下の子どもには、保険証を交付するとの答弁を引き出したことを報じていました。
 07年11月14日、「えッ…。200円ではだめなんですか。診察はやめます」。かみの診療所受付。腹痛を訴える2歳の女の子を連れた母親はうなだれました。「子どもの医療費受給証」(3歳未満の外来は1回200円)と資格証明書を示した時でした。国保料の滞納世帯に発行される資格証明書では、3歳未満の初診の場合、6600円を払わなければなりません。母親はそのことを知りませんでした。財布の中にあったのは1000円だけでした。
 岩橋さんは、帰ろうとする母親に、「残金は後日で結構です。受診して下さい」と言いました。親子が受診している間に岩橋さんは、区役所の国保窓口に電話をかけ保険証の発行ができないかと掛けあいましたが、窓口は機械的に、「(母親に)相談に来るよう言ってください」とくり返すばかり。
 岩橋さんは、悔しい思いをしました。

18万人の署名と論戦の力で

 07年12月5日、市議会普通決算特別委員会。この事態を直ちにつかんだ日本共産党は、「子どもの医療を受ける権利を奪うのか。子どものいる世帯からの保険証取り上げは中止すべきだ」と追及しました。これに、「(滞納している)保護者にも責任がある」と冷たい答弁に市は終始しました。
 この姿勢を変えさせたのが、運動と議会論戦でした。
 この秋、市民団体や医療団体、労働組合は「国保料引き下げ・署名実行委員会」を結成し、同年12月に、18万人分の署名を集め、市に提出しました。この運動を背景に、日本共産党は翌年の3、11月の両議会で、子どもの保険証取り上げ問題を追及し、10月には市に申し入れました。他党は一切問題にさえしませんでした。
 その結果、市は08年11月議会で、前述の中学生以下の子どもに保険証を交付をすると述べました。国会で、資格証世帯の子どもに無条件に短期証を交付する法改正案が成立する1カ月前のことでした。

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国庫負担増へ意見書広がる

 同党府議団(新井進団長、11人)もこの問題を徹底追及してきました。09年11月、府議会決算特別委員会。法改正で、「無条件」となっているのに、同党の調査で「親が納付相談に来ないかぎり、子どもの短期証は渡さない」とする自治体があることを示し、改めさせるよう府の指導を求めました。
 この追及は府を動かし、同年12月、府は市町村に「短期証を郵送するなど、速やかに子どものいる世帯に届けるよう」通知しました。
 国会論戦と連携して、今年7月から、保険証交付の対象年齢が高校生までに拡大。さらに、「経済的に困窮し、医療の必要な人には大人にも短期証交付をする」よう国が各自治体への通知するなど、日本共産党は、保険証取り上げをやめさせる大きな力となってきました。
 保険証の取り上げの背景にあるのは、高すぎる保険料です。日本共産党は、保険料引き下げを求めるともに、「国庫負担金の増額こそ国保問題解決の道」とする論戦を繰り返し行ってきました。
 保険料が高騰する最大の原因は、国庫負担の減。国保会計に占める国庫負担比率が50%(84年)から25%(07年)に減らされたからです。この具体的事実と数字をもとにした同党の主張に、他会派も賛同しています。今年3月、京丹後市と木津川市で17%もの値上げ案が提案されました。僅差で可決されましたが、「国は国庫負担を増やし責任を果たすべき」との意見書が全会派一致で採択されました。同様の意見書は7自治体(表)に広がっています。無保険の増加明らかにする 新たな問題として、非正規雇用やリストラで職を失った人たちの「無保険」が社会問題となっています。この問題をいち早く議会でとりあげたのも日本共産党でした。
 今年5月、国や自治体が一切調査しない中、同党府議団と京都市議団は、失業者の国保加入状況の聞き取り調査を実施。失業者の約1割が「無保険」状態にある事態が明らかになりました。
 府議団がこの結果を示し議会で追及すると、府は「無保険状態解消のため、取り組みを強化する」と答弁しました。
 また、京都市議団は6月、国保に関するアンケート用紙を市内の全世帯約62万戸に配布。約900人から回答が寄せられ、国保世帯の93.1%が「保険料が高い」と答え、病院へ行くのを「がまんした」人は63.6%にのぼりました。
 深刻な声をもとにした同議員団の追及に、市も「被保険者の負担は限界に達しつつある」という認識を示しました。
 自ら実態調査を行い、住民の切実な声をもとに、論戦を展開する日本共産党に、医療と国保をよくする京都府・市民の会の池田靖事務局長(49)は、「住民に心をよせ、事実からせまって成果をあげる。住民にとってなくてはならない存在です」と話します。
 国は、国保を都道府県単位に一元化しようとしています。一般会計からの繰り入れをなくし「平準化」することで、保険料をさらに引き上げようというねらいです。命の守り手としての日本共産党の役割はますます重要です。(「週刊しんぶん京都民報」2010年11月14日付)