厳寒に咲くスイセン 宇治市、恵心院
例年にない冷え込みが続く中、あちこちの庭や小径の片隅に水仙が凛々しく咲いています。写真は宇治川中の島に架かる朝霧橋のたもとから少し入った恵心院(注)の50メートルほどの参道両側と本堂右手の庭園に咲く水仙です。
水仙はヒガンバナ科スイセン属で秋のヒガンバナの仲間。原産はスペインや北アフリカ地中海沿岸地方で、日本や東アジアにはシルクロードを通って渡来しました。温暖な海岸近くにたくさん自生しているように見えますが真の自生ではありません。厳冬の中でも咲き誇るほど耐寒性は抜群です。鱗茎(リンケイ)は卵状球形で線形の葉っぱの間から芳香のある白花を数個付け、内側には濃黄色の杯状の副花冠があります。園芸品種として品種交雑され、現在は、ラッパズイセン、房咲きスイセン、八重咲きスイセンなど約30種類ほどで多種多様になっているようです。花言葉は「私は美しい」。
(注)恵心院=平安時代はじめの821(弘仁12)年に弘法大師によって開かれた古刹龍泉寺と伝えます。その後、源氏物語の宇治十帖のヒロイン浮舟を助けた横川の僧都のモデルとなった言われる恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)によって再興されて恵心院と称するようになりました。(仲野良典)