(14)奥田富和さん 久御山町農業委員会会長 食文化全体に打撃
町農業委員会としてTPP参加反対の「1000万人全国署名」を積極的に取り組もうと決めました。私は町会議員をしており、地元住民・農家を守るためにTPP反対に取り組むのは当然のことと思っています。
農作物の関税が撤廃されれば、価格が安い外国の農作物との競争にさらされ、ただでさえ赤字の農業経営はさらに打撃を受けることになります。特にコメが打撃を受ければ、コメを中心とする日本の食文化全体に波及し、日本の農業は立ち行かなくなる。農業の担い手がいなくなるのではないでしょうか。
久御山町は農業租生産額が約30億円で、町の単年度一般会計決算(約75億円)の4割を占め、府内有数の大農産地です。農地の8割以上が水田でコメを生産していますが、コメの産出額は3億円程度です。コメの単価が安すぎるので、転作で作っているホウレンソウやネギなどの野菜が収入源となっています。
国産米は高いかのように言われますが、むしろ安いですよ。昨年、京都のコメ生産者が受け取る価格は1俵(60キロ)1万円、2合50円でした。農水省の統計で生産費は2合平均80円と言われており、家庭1食のコメで30円赤字です。
採算性のない農業だから農家が減り、若者が継いでくれず、自給率が低下するのです。
農業経営への支援こそ必要ですが、その前にまず、TPP参加を絶対阻止しなければなりません。(「週刊しんぶん京都民報」2011年02月20日付に掲載)