若狭湾原発14基の危険を語る(4) 東京大学名誉教授・金属材料研究者 井野博満さん
金属材科学の研究をしています。原子炉圧力容器の素材は金属でできており、劣化します。以前から圧力容器が劣化して壊れ、大事故を起こす危険があると指摘してきました。老朽炉の多い若狭湾の原発群では、こうした事故がおこる可能性が高いと考えています。
金属やガラスでは、例えば熱を入れたコップが突然割れる、雪山でピッケルがポキっと折れるなど、一定の温度や力で壊れることがあります。これを脆性(ぜいせい)破壊といいます。
金属は古くなると腐蝕と劣化によってもろくなりますが、原発ではそれに加えて、中性子が原子炉圧力容器の鋼鉄にぶつかり、金属をもろくさせる「中性子照射脆化」が起こります。これは、銅など不純物の多い鋼でおこりやすく、また、加圧水型原子炉(PWR)で起こりやすい傾向があります。…
…ある温度以下でもろくなることを示したものを脆性遷移温度といいます。…脆性遷移温度が高ければ、加圧熱衝撃(PTS)が起こり、脆性破壊の可能性が高くなります。今、再稼働が問題になっている玄海原発1号機は、脆性遷移温度が98度でワースト1位です。ワースト2位から6位を福井県にある原発が占めています。それらは美浜1~2号機、大飯2号機、高浜1号機、敦賀1号機です。…(詳しくは「週刊しんぶん京都民報」7月17日号特集に掲載)