小林圭二氏・元京大原子炉実験所助手に聞く(2)
「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格導入を」との提言を発表した日本共産党は、「原発ゼロ」に向けて原発縮小にただちに踏み出すことを主張。原発の新増設の計画を中止・撤回するとともに、危険が大きい原発の廃炉などをすみやかに決断、実行することを求め、その1つとして、「高速増殖炉『もんじゅ』を廃炉にし、プルトニウムを燃料とするプルサーマルを中止し、プルトニウム循環方式からただちに撤退する」ことを訴えています。
福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」(日本原子力研究開発機構)の危険性を告発してきた、元京都大学原子炉実験所助手の小林圭二さんに「もんじゅ」と核燃料サイクルの危険性・問題点を語ってもらいました。
福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」(日本原子力研究開発機構)の危険性を告発してきた、元京都大学原子炉実験所助手の小林圭二さんに「もんじゅ」と核燃料サイクルの危険性・問題点を語ってもらいました。
世界各国で撤退 推進は日本だけ
―日本以外の国でも高速増殖炉は運転されているのですか
小林 アメリカ、フランス、イギリス、ドイツなどで高速増殖炉から撤退しており、「未来のエネルギー確保のため」と突き進んでいるのは日本だけです。
アメリカでは、1955年に高速増殖炉「EBR─Ⅰ炉」で暴走・炉心溶融事故を起こしたことや、プルトニウムを核兵器に転用される危険性を危惧して撤退しました。その後世界をリードしてきたフランスでは、世界初の高速増殖炉の実証炉「スーパーフェニックス」を80年代に造りましたが、トラブルが多くてまもとに動かせず、莫大な予算がかかるため、98年にやめました。
高速増殖炉を核兵器開発に使ったり、増殖をやめて使用済み核燃料処理の研究に使った国もありますが、エネルギー目的で進めているのは日本しかありません。(「週刊しんぶん京都民報」2011年7月31日付)