(7)「自己都合」の強制
「妊産婦」の法的保護規制に違反
妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性は「妊産婦」として、多くの法的保護を受けます。会社の対応はこうした法的保護規制に反しています。また、育児休業中に会社から出勤を命ずることはできず、労働者として出勤命令に応じる必要はありません。出勤や退職に応じてしまうと、ご相談のようにアクドイ会社側がつけ込んできますし、雇用保険では自己都合退職とされ、労働者には不利に展開します。「おかしい」「理不尽だ」と思ったときには、その時点で毅然と会社と対決することが重要です。
妊産婦の保護としては、労働基準法が、生後満1年までの生児を育てる女性に1日2回各々少なくとも30分、生児を育てるための時間の請求を労働者に認めています(67条)。さらに男女雇用機会均等法は、母子保健法による保健指導や健康診査の時間確保(12条)と、そのための勤務時間変更、勤務軽減等必要な措置を事業主に義務づけ(13条)、さらに、婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱い禁止を定めています。
とくに、女性労働者の妊娠、出産、産休取得を理由として妊娠中と出産後1年までの女性に対してなされた解雇は、それが理由でないことを事業主が証明できないときは無効です(9条)。これをめぐる紛争については、労働者から援助を求められた都道府県労働局長が必要な助言、指導又は勧告ができると定めています(17条)。
ご相談の場合、形式は労働者からの「退職」ですが、実質的には会社側からの「解雇」と考えることができますので、会社の対応が法違反だと争えます。しかし、個人で交渉しても、会社側は「出勤や退職に労働者側が納得して応じたので問題はない」と相手にしてくれないと思います。
ここは迷わず、親身になって相談してくれる地域労組を見つけ、その援助を受けることを考えて下さい。労働基準監督署への申告や労働局への援助要請、さらには団体交渉による解決が可能となります。(「週刊しんぶん京都民報」2008年4月20日付)