(22)パワハラ謝罪して!
全人格的支配許されない
労働者も人格権をもつ人間です。どんな事情があっても、職場での暴言、暴行、いじめ、パワハラは決して許されません。セクハラは男女均等法で特別の法規制がありますが、それ以外のいじめやパワハラは独自の法規制がありません。
しかし、社長の暴言・暴力は、明らかに、労働者に対する人格権侵害と言えます。民事的には不法行為ですし、事情によっては暴行、名誉毀損などの犯罪に当たる可能性もあります。
たしかに、労働関係では使用者(会社)は、指揮監督権限をもって労働者を働かせることができますが、労働者の名誉や人格権を踏みにじる扱いは許されません。むしろ、労働関係では使用者が、労働者の人格、健康・安全等に配慮し、快適な職場環境を維持する義務を負うと考えられます。
上司は、労働に関連した目的・範囲内で指働者を全人格的に支配することまでは認められていません。上司の発言は、(1)内容、(2)言い方、(3)継続・反復性などから、本来の指揮・監督の範囲を超えていると判断されます(例、(1)「存在が目障りだ」「給料泥棒」「みんな迷惑している」「消えてくれ」など、(2)大声、威圧的、無配慮、傍若無人などの場合)。
職場でのいじめによる強いストレスのために労働者が「うつ病」になった事件で、使用者の安全配慮義務違反を認め、損害賠償を命じた判決(川崎市水道局事件・東京高裁2003年3月25日)もあります。
近年、いじめ・パワハラが、労働者の名誉や人格を傷つけるだけでなく、強いストレスを生み、うつ病などを発病させて、労働者を死に至らせる例が増えています。悪質な場合は、安全配慮義務違反や不法行為というだけでなく、犯罪にも当たると考えられます。
迷わず地域労組などに相談して下さい。労働組合の援助があれば、会社に謝罪や損害賠償(慰謝料など)を求めて団体交渉ができますし、労働行政を活用したり、裁判での解決も可能となります。(「週刊しんぶん京都民報」2008年9月28日付)