(29)正社員にしてくれない
3年越えての派遣は違法
製造業務でも労働者派遣が解禁されていますが、派遣可能期間は上限3年です。正確には1年から3年までの間で派遣先が過半数労働者代表の意見を聴いて決めます。
この期間は派遣労働者が従事する派遣先業務を基準に考えます。派遣会社や労働者が入れ替わっても、ある派遣先の業務で合計して派遣の受入が一定期間(上限3年)を超えたときには、それ以上の派遣は違法となるのです(派遣法40条の2)。
派遣先は、派遣可能期間を超えて違法となる最初の日(抵触日)を派遣元に通知する義務があります(40条の25項)。派遣元は、この通知を受けたときにはすぐに派遣労働者に抵触日を通知しなければなりません(34条2項)。
この抵触日が何年何月何日になっているかを確認しておく必要があります。
既に4年以上働いていれば、派遣可能期間を超えていることは確実です。派遣元は期間を超えた派遣が禁止され(35条1項)、違反には罰則もあります(61条)。
他方、派遣先も派遣受入れができず(40条の2)、派遣先が抵触日以降、引き続いて派遣労働者を使用しようとするときは抵触日の前日までに派遣労働者であって派遣先に雇用されることを希望する者に対して雇用契約の申込みをしなければなりません(法40条の4)。
これらに反するときには、労働者は都道府県の労働局(国の機関)に申告することができます。労働局から派遣先に対して指導、助言があり、労働者を雇い入れるように勧告をしてもらうこともできます(49条の22項)。これに従わないときには、派遣先の企業名公表もあります(同3項)。
しかし実際には、派遣労働者が派遣期間終了後、派遣先から雇用の申込みを受けて正社員になる例はきわめて少数です。現行派遣法は労働者保護や派遣先への規制が余りにも弱いからです。現実に正社員化を実現するには、派遣労働者を援助する地域労組などに相談し、知識と力を蓄えながら問題提起をしていくことが重要です。(「週刊しんぶん京都民報」2009年1月11日付)