(32)休憩時間水増し
休憩時間も就労なら賃金請求を
労働基準法では労働時間は休憩時間を除き、1週40時間、1日8時間以下と定めています(32条)。労働時間が8時間を超えれば、休憩時間は最低1時間必要です(同法34条)。午前8時始業、午後6時終業、休憩時間が2時間であれば、会社で決めている労働時間(所定労働時間)は8時間です。
労働基準法でいう「労働時間」は、労働者が使用者の指揮命令の下にある時間です。実際に業務に従事する「作業時間」だけでなく、次のお客や荷物が来るまでの「手待時間」、業務の準備・後始末などの時間も広く労働時間に含めます。これを「実労働時間」と言い、その労働時間について使用者(会社)は賃金を支払う必要があります。
休憩時間は、労働者が権利として労働から離れることを保障された時間で、使用者は、労働者を仕事から解放してその自由利用を認めなければなりません。休憩中であっても、労働者を拘束している時間は労働時間とみなされます。一般には休憩時間を含めて「拘束時間」と言われることが多いのですが、正確には休憩時間は、労働者が使用者からの拘束を受けない時間です。
長距離運転の業務では以前から長すぎる休憩時間が問題になっていました。最近では、小売り業で休憩時間を確保させない慣行が裁判で争われています。自動車部品の販売店の事件で、裁判所は、所定休憩時間は2時間でしたが、「従業員が一斉に休憩を取ることができず、店舗の混み具合、店舗の従業員の数により、1人又は2人ずつ交替で順次休憩をとり、食事をとるなどしていた」状況から、休憩時間は各勤務日で合計1時間を超えることはなかったとして、賃金不払いの労働時間があったことを認めています(東京地裁2008年10月7日判決)。
ご相談の場合、休憩時間が2時間でも実際に就労しているのであれば、その時間は労働時間になります。8時間を超えた労働時間になりますので、25%以上の割増分を含めた賃金支払いを過去に遡って請求できます(労働基準法37条)。地域労組や京都総評の労働相談センターに、監督署への申告を含めて解決方法を相談して下さい。(「週刊しんぶん京都民報」2009年2月22日付)