(42)派遣法、どこが問題?〈2〉
派遣受入れの限定と派遣先雇用責任明確化
1985年の日本の労働者派遣法は、派遣を「専門業務」に限定することを重視し、派遣受入れを短期に制限するという考え方は弱かったと言えます。外国では派遣先で急に業務量が増えたり、従業員が育児休業をとる場合など、明確な臨時的事由がなければ派遣労働を利用できません。臨時的事由がなくなったり、業務が恒常的なものになれば、派遣労働者を常用雇用で受け入れる原則が明確です。ドイツやイタリアでは派遣期間終了後に派遣先正社員となる割合が3割を超えています。
日本では、99年派遣法改正で、対象業務が原則自由化され、受入れ上限が1年(現在は3年)となって、ようやく派遣労働は期間制限を伴うという理解が広まりました。
しかし、期間満了後、派遣先が自動雇用する仕組みが明確でなく、違法派遣でも派遣先がただちに雇用するという法規定がありません。法改正では、受入期間を超えたときや違法派遣の場合、派遣先が直接雇用責任を負うことを明確にする必要がありま
す。
また、99年改正以前の「26業務」は「専門業務」であるからだとして、派遣受入れ期間の制限がありません。これは重大な問題です。「26業務」は決して専門業務ではなく、現業労働者(清掃、ビル管理関連業務)や女性労働者(OA機器操作、ファイリングなど)、情報処理などで、劣悪な労働条件の業務も少なくありません。
現行法では、26業務で3年を超えて派遣を受入れた場合、新たに正社員を雇用するときには、その派遣労働者を優先雇用する義務を派遣先に負わせています。しかし、派遣労働者の待遇が余りにも低いために、わざわざ正社員を雇用する事例はほとんどありません。
こうした「26業務」については、(1)その根拠である「専門性」を厳しく再点検すること、(2)正社員よりも人件費を高くしなければ専門業務と認めないことが必要です。何よりも、(3)受入れ期間の制限を定めて、それを超えたときには派遣先が常用雇用することを明確にすることが必要だと考えられます。(「週刊しんぶん京都民報」2009年7月12日付)