(45)1カ月ごとの契約は?
更新の拒否にも合理的理由必要
契約社員は、通常、会社などと「期間を定めた契約」(有期契約)を結んで、正社員と同様の労働時間(フルタイム)で就労する非正規雇用形態を指しています。ただ、職場によって違いますので、関連文書(労働契約書や就業規則)の記載内容を確認しておくこと
が重要です。
契約期間が1カ月で更新しているということですが、この1カ月という期間設定に重大な問題が含まれています。つまり、(1)担当業務が、営業という恒常的業務であり、本来、長期の契約が当然です。1カ月契約にしたのは労働法・社会保険法の脱法目的という可能性があります。(2)既に半年ほど経過したということですので、1カ月契約を4?5回は更新したことになります。
東芝臨時工事件・最高裁1974年7月22日判決は、恒常的業務で契約の更新を何度も繰り返しているときには、会社の契約更新拒否(雇止め)は自由ではなく、解雇と同様に合理的理由が必要だとしています。さらに、労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」としています。
この「解雇」には、有期労働契約の更新拒絶(雇止め)も含まれます。つまり、契約更新の拒否(雇止め)にも客観的に合理的な理由が必要なのです。
ご相談の場合、回線契約がとれない人が少なくないということですが、それは会社の営業方針の誤りや、宣伝不足などに大きな原因があるからと言えます。その責任を労働者個人に押しつけ、しかも、契約更新の拒絶理由とすることは許されません。会社としても、既に半年雇用して経験を積んだ人を辞めさせて、未経験者を新たに採用するのは、経営的視点からも合理的だとは言えません。
契約が更新されなければ、それを不当解雇(雇止め)だとして争うことができます。個人で対抗することは簡単ではありません。迷わずに、地域労組などの支援を受けることを勧めます。(「週刊しんぶん京都民報」2009年8月23日付)