(46)失業保険がない!?
すべての事業所に保険加入義務
雇用保険法では原則として、労働者を雇用するすべての事業所に保険加入を義務づけています。例外は、従業員5人未満の農林水産業などに限られます。
また、週労働時間が20時間未満の場合や、20時間以上でも「雇用の見込み」が6カ月を超えないときには適用が除外されます。ご相談の場合、適用事業所であり、労働時間も20時間以上ですので雇用保険適用が必要です。
会社が雇用保険に加入しないのは明らかな法律違反です。雇用保険加入条件を満たしていますので、会社を管轄する職業安定所に相談して、被保険者であることが確認されれば、時効の関係で2年前までさかのぼって加入できます。
昨年末からの「派遣切り」「期間工切り」で、雇用保険不加入であった派遣労働者や外国人労働者が地域労組に相談し、2年前に遡って雇用保険加入し、失業手当を受けた事例が数多く報告されています。また、不加入の会社に被害額を損害として民事裁判を提起し、相当額を賠償請求し勝訴した事例もあります(豊国工業事件・奈良地裁2000年9月5日判決)。
現行の雇用保険法では、離職理由がきわめて重要です。その理由によって失業手当の給付日数等が大きく違ってきます。ご相談では、「仕事を辞める」ということですが、労働者の自己都合退職であれば、職業安定所長が「最長3カ月の失業手当支給制限」など不利な処分をする可能性があります。形式は労働者から辞める退職であっても、一定の「正当な理由」があれば、この支給制限を受けずに済みます。
例えば職場でハラスメントがあったり、賃金遅配、長時間労働などの劣悪条件があれば、具体的な事情にもよりますが、この「正当な理由」になります。少なくとも、会社が離職票の離職理由欄に「労働者の自己都合」と記載しても、労働者としては「不同意」としておくことが重要です。
一人で対抗するのは難しいので、身近な地域労組(京都総評労働相談センターなど)に迷わず相談して下さい。(「週刊しんぶん京都民報」2009年8月23日付)