(55)時給700円以下!
最賃違反なので労基署に申告を
まず、労働者保護の視点からの法規制があります。賃金は、中小零細企業の労働者であっても、最低賃金法(最賃法)に基づく最低賃金を下回ることができません。
最低賃金額は、京都府の場合、2009年10月17日以降、時給729円となっています。出来高給であっても一定期間に受け取った賃金総額を実際の労働時間数で割って時給相当額を計算します。
その額が最低賃金を下回るときには、差額の支払いを下請会社に請求することができますし、最賃法違反として労働基準監督署に申告することができます。
次に、近年、厳しい経済情勢を背景に大きな企業が下請たたきと呼ばれる不当な圧力を加える事例が目立ってきました。これに関連しては、公正取引確保の視点から、下請代金法(正式名は、「下請代金支払遅延等防止法」)は、親会社からの代金支払の遅延等を防止して、親会社の下請会社に対する取引の公正と、下請会社の利益を保護しています。
とくに、下請代金法4条は、製造委託をした親会社に対して、代金不払い、代金減額、返品、買い叩きなどの禁止を詳細に定めています。
とくに、08年12月、悪質な下請たたきの事例が頻発したことから、政府は下請対策を強化し、公正取引委員会、経済産業省、厚生労働省等の関係機関が連携して「下請保護情報ネットワーク」を作りました。そして、その一環として中小企業における労働条件の確保・改善に関する「通報制度」を設けました。
これは、労働基準監督指導によって、賃金支払規制(労基法24条)や最低賃金規制(最賃法4条)などで法違反があると分かった場合、下請代金法4条違反も考えられるとして、厚生労働省から経済産業省または公正取引委員会へ通報し、下請取引適正化のための必要な措置を講ずるというものです。
ご相談の場合、時給額は明らかに最低賃金法違反です。労働基準監督署を通じて右のような改善を求めることができます。ただ、個人で対抗するのは簡単ではありませんので、地域労組などに相談して下さい。(「週刊しんぶん京都民報」2010年2月14日付)