(69)有給持ちこせる?
前年の未消化日数今年に追加できる
労働基準法は39条で、「年次有給休暇」(以下「年休」)の最低基準を定めています。労働者は、勤務開始後、6カ月の間に全労働日の8割以上勤務したとき、その後の1年間に最低10日の年休の権利が発生します。年休日数は、さらに勤務が継続すると毎年増えます。同様に、勤務開始から1年半で11日、2年半で12日、3年半で14日、4年半で16日、5年半で18日、6年半以降は20日(上限)となります(表1)。
行政解釈は「年休は1年を限度に繰り越すことができる」としており、前年の未消化日数を今年の日数に追加できます。
もし、勤続7年半で一度も年休を使ったことがない場合、前年の20日分は繰り越され、7年半からの20日と合わせて1年間に40日の年休を取得できます。しかし、最初の6年半に取得できたはずの合計81日の年休の権利は、会社が時効を主張すれば消滅することになります。
なお、これは所定労働時間が週30時間以上の労働者の場合です。それよりも労働時間が短いパートの場合、比例的に少ない日数の年休が与えられます(表2)。
また、常時10人以上の職場であれば、使用者に作成が義務づけられている「就業規則」で、労働基準法より有利な年休の日数や内容を定めることがあります。就業規則があれば、年休関連の規定がどうなっているかを確認して下さい。
年休は本来の制度の趣旨からは、1年で使い切ることが原則です。欧米では労働者だけでなく、使用者を含めて夏休みなどに余暇をとる慣行が普及しており、4週間程度の年休を使い残すことは考えられません。
日本では貧弱な年休取得の実態に合わせた法改正で、労使協定による計画年休制度が認められ、2010年4月からは5日の範囲内ですが、「時間単位」での年休まで認められることになっています。(「週刊しんぶん京都民報」2010年9月12日付)