(75)社会保険の加入
法人の場合は接客業も強制適用事業所に
社会保険(健康保険や厚生年金保険)は、使用者の保険料半額負担があり、労働者にはかなり有利です。労働者は原則として、社会保険に加入できます。
まず、法人(会社など)の事業所や、多くの業種では個人事業所でも労働者を5人以上使用している場合、使用者は、労働者を社会保険に加入させなければなりません。ただ、接客業(旅館、料理店、飲食店、映画館、理容業など)は、例外業種とされ、個人事業主は強制適用ではありません。
しかし、接客業でも、法人は強制適用事業所です。通常、税制面などの理由から接客業でも会社組織(株式会社、有限会社など)がほとんどですので、職場が「法人」かどうかを確認して下さい。
次に、適用事業所であっても、(1)2カ月までの契約など、臨時的な就労の場合、(2)労働時間が「通常の労働者」(正社員)の4分の3を下回る場合は、例外として社会保険に加入させなくてもよいとされています。
ただ、(1)であっても契約を更新して2カ月を超えるときは社会保険加入が必要となります。(2)の法的根拠は明確ではありませんが、国の法運用として一般化しています。
ご相談の場合、「毎日フルタイムで、週40時間近く働いている」とのことですので、(2)には当たりません。契約期間など、(1)の雇用契約の内容を確認することが必要です。できれば、使用者に社会保険に加入させない理由を確認して下さい。
なお、最近の相談で多いのは、「個人請負」形式にして、労働法や社会保障法の適用をしないという脱法的扱いです。契約が「雇用契約」や「労働契約」ではなく、「請負契約」や「業務委託契約」にされていないか、確認して下さい。もし「個人請負」とされていても、就労の実態が労働者であれば社会保険の適用が必要です。
なお、字数のため詳しく説明できませんが、接客業の個人事業所でも、使用者と労働者の希望によって一定要件を満たせば、事業所単位で社会保険に加入できる道があります。(「週刊しんぶん京都民報」2010年12月19日付)