伏見・弁天浜のコスモスと十石舟
今週はコスモスが一番きれいな季節です。京都できれいなコスモスが群生している主なところは左京区大原の里(三千院手前=有料)、山科琵琶湖疏水縁(無料)、亀岡市(有料と無料)や木津川市加茂(無料)などが有名です。この他、今はいたる所に満開のコスモスが秋風になびいています。
写真は伏見の宇治川派流にある有名な長建寺の弁天浜辺りのコスモスです。近所の方が育てており、「どうぞ切ってお持ち帰りください」の札がかけられ、毎日10本ほど持ち帰る人が絶えません。「ここのとこのはきれいなんです。花瓶に挿して水を換えてやると4日間はもつんですよ。萎れたらまたもらいに来ます」とニコニコ顔で白やピンクや橙色のキバナコスモスも切り取っています。
弁天浜は十石舟の発着場。たくさんの秋の行楽客がこの浜から国土省管轄の三栖閘門までの乗船を楽しんでいます。江戸時代には宇治川からの派流が縦横に流れ、南浜、北浜、西浜などたくさんの港や荷揚場がありました。参勤交代の大名が乗る御座船、物資や人を運ぶ三十石船や大型の伏見船などが行き来し、寺田屋など宿場街としても賑わっていました。(仲野良典)
「こすもすは やさしいうでをのばしている そのひとつひとつのうでのさきには ひとのこころをなごむるものをもっている やわらかげなあきぞらのもとに うすももいろのまるいものらよ」(八木重吉)
コスモス(学名Cosmos bipinnatus:キク科のコスモス属:ギリシャ語のコスモスは秩序ある美しさで、ここから調和、宇宙と言います:花言葉は繊細な心)。原産地はメキシコ高原地帯でヨーロッパには18世紀頃に伝わり、日本に伝わったのは比較的新しく明治20年頃です。和名は秋桜(アキザクラ)。品種改良されて花の色も一般的な白や薄いピンク、赤、紫、黄、橙などあります。