堤未果さん 第61次京都教育研究集会「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい」(同実行委員会主催)が19、20の両日、京都市上京区の同志社大学新町キャンパスで行われ、教職員や研究者らのべ570人が参加しました。
 実行委員会を代表して藤本雅英京教組委員長が、教育の進む方向性として効率や利潤が優先され自己責任論がまかり通る新自由主義的な教育改革か、子どもたちの命をいつくしみ、人間として大切にする学校・地域を作る方向か、の歴史的分岐点に立っていると述べ、「教育基本条例が大きな争点となっている大阪府知事選挙と、来年2月の京都市長選挙は重要な選挙戦。新自由主義的な教育を押しとどめる上でも必ず勝利を」と呼びかけました。
 ジャーナリストの堤未果さんが「市場主義的な『教育改革』はアメリカの学校に何をもたらしたか」と題して講演しました。堤氏は、アメリカで広がっている反格差・反貧困デモはウィスコンシン州で公務員の団体交渉権をなくす法案提出に対して教師など労組が反発したことが発端で、その背景にこの10年間に米政府が行ってきた福祉や食、医療、戦争などあらゆる分野への市場化導入があると指摘。9・11テロ翌年の2002年、ブッシュ政権が導入した「おちこぼれゼロ法」で教育現場が市場化され、さらにオバマ政権が輪をかけた過激な教育改革を打ち出し、点数による競争激化と徹底した教師への管理強化、効率化最優先のグローバル企業の参入などにより、教育ビジネスのターゲットにされ食いつくされつつある実態をリアルに報告しました。
 そして、アメリカが強硬にTPPへの参入を日本に求める背景に、グローバル企業の果てしない思惑があるとのべ、「TPPは農業だけでなくあらゆる分野を規制緩和し、アメリカの掲げている市場化が日本に上陸するということ。今ならまだ間に合います。多くの方たちと声をあげていってほしい」と訴えました。
 京教組の相模光弘教文部長が、新自由主義社会の中での教育の問題点や現状、子ども観・教育観を見つめ直し、実践の方向性への展望を開く討論を呼びかけました。
 20日には教科別、食教育と学校給食、障害児教育、学校づくりなど27の分科会に分かれて報告と交流が行われました。
 来年1月22日告示(2月5日投票)の京都市長選挙に出馬する中村和雄弁護士が必勝のあいさつを行いました。