西山夘三生誕100年を記念するつどい 「京都・まちづくり市民会議」は2日、京都市中京区のハートピア京都で、建築学者として著名な「西山夘三生誕100年を記念するつどい」を開き、建築家や学者ら30人が参加しました。
 「西山夘三の見続けた昭和のすまい」と題して松本滋兵庫県立大学教授が、西山氏が戦前から戦後の日本各地の住宅などを撮った写真を紹介。大阪や奈良、東京などで戦後広がった様々な長屋の復興住宅や九州や北海道の炭鉱住宅、バスや電車などを転用した市営住宅をはじめ、戦後の高度成長の中でもドヤ街の簡易住宅や飯場を訪ねたり、農村の住改善などに取り組んでいた活動などを解説しました。
 また、西山氏が提唱した「食寝分離論」で小さな住宅でも専用のダイニングを提案した図面やスケッチも示し、「いつも庶民の立場に立った目線で暮らしを見つめていた」と話しました。
 日本福祉大学の片方信也教授が「西山夘三から引き継ぐこと―今思う専門家・技術者の果たすべき役割」と題して講演。西山氏が「専門的知識や技術は誰の為にあるのか、何のための研究か」問い掛け続けて来たことや、景観論争の中心となって新たな切り口を考え出した功績などを振り返りました。
 JR京都駅ビル建て替え問題では、高さ規制を外した国際コンペに参加した建築家に社会的責任を問う公開質問状を出し、「作品をもって判断させる作品主義」を厳しく批判したことや京都ホテルの建て替え問題では、高層化で東山を背景にした大景観への影響シミュレーションを指示するなど歴史都市京都の将来像を市民と共有することを大事にしたことを強調。「きっと西山氏は今回の震災で、人間の復興を目指す町づくりを提起すべきと言われると思う。具体的なものとして皆さんと一緒に考えていきたい」と述べました。
 同会代表委員の中林浩・神戸松蔭女学院大学教授と同事務局代表の中島晃弁護士があいさつしました。