日本共産党京都府委員会(渡辺和俊委員長)と同府議団(前窪義由紀団長)、京都市議団(山中渡団長)は21日、「門川市長の『特別自治市構想』反対、住民自治の拡充こそ必要」との見解を発表しました。同市議団は同日、京都市に申し入れました。
 見解の全文は次の通り。


 京都府から京都市を独立させる「特別自治市構想」が、自治体と住民の暮らしをめぐる重大問題として浮上しています。「指定都市市長会」は、7月27日に「新たな大都市制度の創設に関する指定都市の提案」(あるべき大都市制度の選択「特別自治市」)を提案しました。門川京都市長は、この提案を支持し、「京プラン実施計画」で「市域内における府県の権限や財源を市に一元化する新たな大都市制度『特別自治市』の創設を提言」と明記しました。これらの動きを受け、山田京都府知事は、12月7日の府会本会議で「府は京都市が抜けると地理的に分断される。広域行政体として成り立つのか。そうでないなら府民の幸福につながらない」と答弁しました。
 門川市長は、12月10日の出馬表明で「二重行政の打破」「抜本的な大都市制度改革」を提案、直接的には「特別自治市構想」には触れませんでした。しかし、実際には、本年6月の京都市の国への予算要望には「道州制を見据えたうえでの、個性豊かで活力に満ちたまちづくりを自立的、総合的に推進できる、地域主権の時代にふさわしい『特別自治市構想』の創設」と明記しています。また、京都新聞の12月11日付「知事・政令市長緊急アンケート」で、市長は「特別自治市構想」支持を明確にしました。市長は12月13日行われた京都市と経済4団体の懇談会で「道州制も視野に入れ、議論を深めていくことが重要」(12月14日、毎日新聞)としています。これらは自治体のあり方をめぐって重大です。
 「特別自治市構想」は、結局「府県の権限や財源を市に一元化する」としているものの、中身は京都府から京都市を切り離すということだけです。京都の場合、府に占める市の役割が特別に大きく、京都市が独立することにより、京都と京都府自体が成り立たなくなる危険をはらむものであり、市町村と住民に重大な影響を与えるものです。住民の命と暮らしをまもるという基礎自治体・京都府・国がそれぞれ補完しあって果たしている役割を壊し、結局府民・市民の暮らしに重大な影響をあたえるものです。「二重行政」問題は、現状でも話し合いや役割分担を明確にする中で解決が可能です。「道州制」を視野に入れた門川市長の「特別自治市構想」は住民と地域に身近な自治体を壊し、命と暮らしを支える仕組みを弱める「自治体リストラ」を進めるものです。
 そもそも、現在の自治体をめぐる諸問題、暮らしと経済の閉塞感は、こうした「行政システム」の問題ではなく、これまでの自民党、民主党などによる国の政治と、京都市政がその根本解決を示せていないところにこそ問題があります。それを「行政システム」の問題にすり替えることは許されません。
 日本共産党は、門川市長の「特別自治市構想」に反対するとともに、「二重行政」の問題は、住民の立場での府市がよく話し合い、住民の要求に合致するものは推進、無駄なものは整理する立場でのぞむこと。住民自治を強める立場から、地域コミュニティの拡充、市民参加の保障を図ること。を求めるものです。

以上