『サラの鍵』京都シネマで21日公開
1942年にナチス占領下のパリで起きたユダヤ人迫害事件を題材にした映画『サラの鍵』が来年1月21日から京都シネマ(京都市下京区)で公開されます。
物語は、夫と娘の家族3人でパリに暮らす米国人ジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)が60年前の迫害事件を追うことから始まります。取材の中でサラというユダヤ人女性の存在を知ったジュリアは、夫の祖父母から譲り受けた自宅アパートが、かつてアウシュヴィッツに送られたサラの家族が暮らした部屋であったことに衝撃を受けます。
当時10歳のサラは収容所から逃亡していました。迫害事件となった一斉検挙の朝、すぐに戻れると信じて弟を納戸に隠して鍵をかけたサラは弟を助けることができたのか、2人は今も生きているのか──事件を紐解き、サラの足跡をたどる中で明かされる秘密はジュリアの人生をも変えていきます。
全世界で300万部のベストセラーとなったタチアナ・ド・ロネの同名小説が原作。題材となったのは、フランス警察に検挙されたパリとその近郊に住むユダヤ人1万3000人余がヴェルディヴと呼ばれる屋内競輪場に監禁された上、収容所に送られた「ヴェルディヴ事件」。1995年にシラク大統領(当時)がフランス国家として事件に加担した責任を認め、フランス国民に衝撃を与えました。
ハリウッドからも映画化権のオファーが殺到する中、自らもドイツ系ユダヤ人の祖父が収容所で亡くなったというルーツを持つジル・パケ=ブレネールが監督・脚本。綿密なリサーチに基づいてフランス近現代史の恥部とも言えるユダヤ人迫害の真実に迫りながら、今を生きる私たちの物語として描き、昨年の東京国際映画祭で最優秀監督賞・観客賞をダブル受賞しました。
京都シネマの江田茂樹さんは、「真実の持つ圧倒的な力を描き切った作品。日本の“触れられたくない過去”についても考えさせられます」と話しています。(「週刊しんぶん京都民報」2011年12月25日付掲載)
1時間51分。京都シネマは、四条烏丸下ル西側COCON烏丸3F。問い合わせTEL075・353・4723(京都シネマ)。
京都シネマ