京都の宗教者4団体は9日、昨年11月にアメリカが行った新型未臨界核実験にたいして、オバマ大統領に抗議を、野田佳彦総理にアメリカに抗議するよう求めた文書を送付しました。4団体は世界の平和を求める京都宗教者連絡会、京都宗教者平和協議会、日蓮聖人門下・京都立正平和の会、京滋キリスト者平和の会。
 送付文書は以下の通り。

アメリカ合衆国大統領 バラク・H・オバマ閣下
駐日アメリカ合衆国大使 ジョン・V・ルース閣下

米国の新型未臨界核実験に抗議します。

背景 私たちは1月5日に公表された、昨年11月16日に行われた貴国の新型未臨界核実験に、深い嘆きをもって抗議します。
 貴国は2010年11月以来、4回同様の実験を繰り返しました。今回の実験は、核実験場や火薬爆発を伴わず、「核実験を行わずに兵器の安全性を維持する」目的で行われたと、貴国の国家安全保障局は説明しました。しかし、爆発の有無に関係なく、実験を行い、核兵器の安全を図ること自体が、核兵器の使用を前提としています。昨年のNPT再検討会議の成果を受けて、世界の趨勢は明らかに核兵器廃絶へと向かい、核兵器全面禁止条約締結へ向けての具体的交渉の開始も目前となっています。そのような時期に世界最強の核保有国である貴国が、それを維持するための実験を行うことは、平和を構築するための国際社会の努力を真っ向から否定するものです。また、核兵器の惨禍に今も苦しみ続けながら核兵器廃絶に尽力する被爆者と日本国民の悲願と、核のない世界を求める世界中の人々の願いを無視するものです。
 私達は、唯一の戦争被爆国・日本の国民として、また、あらゆるものの「いのち」を絶対的に尊び、「殺すなかれ」「敵を愛せ」と教えるそれぞれの信仰を保持する宗教者として、平和を求める国際社会に背反する今回の実験を、絶対に容認することはできません。
 昨年3月11日に起きた東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故は9カ月を経ようとする今も収束の目途は立たず、放射能の被害はどこまで拡大するのか、予測ができません。人類が放射能と共存できないことは最早明白です。核兵器による放射能被害は、原子炉事故を遥かに超える規模となります。この兵器を廃絶する以外に、私達人類の未来は保証されません。
 2009年、大統領はチェコのプラハでの演説の中で、「核兵器を使用した唯一の核大国として、アメリカ合衆国には行動する道義的責任があります」「アメリカは核兵器のない世界へむけて確固とした第一歩を踏み出します」と明言されました。どうかこの誓約を遵守され、ノーベル平和賞受賞者の責任において、全ての核実験と核開発計画を即時・完全に放棄し、速やかに核兵器全面禁止条約締結実現への努力を、誠実に、最大限に行ってくださいますよう、心からお願い申し上げます。

敬具

世界の平和を求める京都宗教者連絡会
京都宗教者平和協議会       
日蓮聖人門下・京都立正平和の会  
京滋キリスト者平和の会      
四者代表 宮城泰年

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内閣総理大臣 野田佳彦様
外務大臣 玄葉光一郎様

米国の新型未臨界核実験へ断固として抗議を!

拝啓 今月5日、米国国家安全保障局は、昨年11月16日に、ニューメキシコ州サンディア国立研究所で新型未臨界核実験を行ったことを公表しました。米国は「爆発を伴わない」「核実験を行わずに兵器の安全性を維持する」目的の実験であると説明しました。しかし、火薬爆発の有無に関係なく、核兵器の維持を意図すること自体が、核兵器の使用を前提としています。この実験は、核兵器の惨禍に今も苦しみ続けながら核兵器廃絶のために尽力する被爆者と日本国民の悲願を無視し、核のない世界を目指す国際社会の努力に反するものです。
 私達は、唯一の戦争被爆国・日本の国民として、また、あらゆるものの「いのち」を絶対的に尊び、「殺すなかれ」「敵を愛せ」と教えるそれぞれの信仰を保持する宗教者として、平和を求める国際社会に背反する今回の実験を、絶対に容認することはできません。
 しかし、藤村官房長官は6日、この実験実施に関して、「わが国として抗議や申し入れをするつもりはない」と明言しました。このような態度は、非核の世界を構築するためにはたらくべき日本の責任を放擲したと言わざるを得ません。どうか、米国に対して、この実験に明確に抗議し、全ての核実験と核開発計画を即時・完全に放棄し、速やかに核兵器全面禁止条約締結実現への努力を行うよう、要請してくださいますよう、心からお願い申し上げます。

敬具

世界の平和を求める京都宗教者連絡会
京都宗教者平和協議会       
日蓮聖人門下・京都立正平和の会  
京滋キリスト者平和の会      
四者代表 宮城泰年