民主党政権が定期検査で停止している関西電力大飯原発3、4号機について福井県などに再稼働への同意を要請している問題で、危険な再稼働に反対する声が広がっています。専門家の指摘を紹介します。

3号機でひび割れ事故 安全性の確保はされず

大飯原発3号機原子炉容器出口ノズルで見つかったひび割れ ストレステスト公聴会では、質疑を打ち切って審査書を安全委員会に提出したことに対し、後藤政志さんとともに抗議声明を出しました。そこでは、津波の想定が低いことや、▽制御棒の挿入の安全性が確保されていない▽基礎ボルトなど機器の強度の安全率が削られている▽過酷事故対策の検証を含めた2次評価を出していない―ことなどを指摘しました。
 制御棒や基礎ボルトの安全性の問題では、関電が示す数字の根拠が分からないことや、想定されている地震の規模(700ガル)が小さいことが問題です。過酷な地震や津波などあらゆる状況に耐えられるものにするべきです。
 また、大飯3号機では、08年に圧力容器の出口ノズルにひび割れ事故が起こりました。関電はひびを消すために、圧力容器を削り、金属を肉盛り溶接しました。また、肉盛り溶接する以前に、削った状態で1年間運転していたことも明らかになっています。多くの原発でこうしたひび割れなどの事故が過去に起こっています。
 福島原発事故の原因究明も行われず、過酷事故対策も行われていない中、再稼働させてはなりません。(「週刊しんぶん京都民報」2012年4月29日付掲載)