シリーズ・発言 増税許せぬ(9)「現代の名工」京人形師 片岡行雄さん
憲法の精神に反する
私は2つの理由から、消費税増税には絶対反対の立場です。ひとつは、私が一貫して作品づくりのモットーとしている憲法の精神に反するからです。消費税は、収入にかかわらず、また生きるために必要な食料品や生活必需品にも課税されます。これは「応能負担」を求める憲法の原則に反しますし、生存権を定めた25条とも相容れません。
もうひとつは、文化や芸術を楽しむ機会を奪うからです。増税は日々の暮らしを圧迫します。美術館で絵画を鑑賞したり、私どもの研究会に加わる工芸家の手による漆器や織物、陶磁器などを買って、生活に潤いをもたらすというようなことは一番最初に切り詰められるからです。
昨年から制作している、「cultivate」(耕作)をテーマにした桐木人形には、豊かな文化を耕していきたいという意味を込めています。このまま増税を許せば、こうした願いもかないません。
その意味で、今回日本共産党が出した「提言」には希望を感じます。実現されることを強く望みます。(京都工芸研究会委員長)(「週刊しんぶん京都民報」2012年5月20日付掲載)